【101歳。ひとり暮らしの心得】友達もきょうだいも適度な距離感がある方が上手くいく。できないことはハッキリ断り、進んで人の世話は焼かない【2025年下半期BEST】
03/12 12:30
婦人公論.jp

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101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが綴った、毎日の小さな喜びを大切に、前向きに悔いの残らない時間を過ごす生き方。エッセイ集『101歳。ひとり暮らしの心得』(中央公論新社)
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<付き合い上手は老い方上手>
ほどよい距離感で、居心地のよい関係
年齢を重ねると人との接点がなくなり、ひとりで家にこもりがちになる人が多いという話を聞きますから、近くに親類や親しい友達がいる私は、幸せだと思います。それらの人たちと居心地のよい距離感を保ちながらお付き合いできているということは、本当に恵まれていると思います。
若いころから、私はお互いの生活のすべてを知っていないと気が済まないといったようなべったりとしたお付き合いが苦手でした。理想は、お互いが自立しており、必要以上に相手の私生活に入り込まないという関係です。

居心地のよい距離感を保つために、私は人から相談を受けてもできないことはハッキリと言いますし、進んで人の世話を焼くということはしません。
このような態度を冷たいと感じる人もいるでしょうが、残念ながらそのようなお付き合いを好む方と私は、長いお付き合いはできないのです。ある一定の距離感を保った少々淡白なくらいの関係のほうが、気持ちがよい関係を長く続けられると、私は思っています。

きょうだいについても、適度な距離感が必要だと考えています。私と妹は、車で十数分というところで、お互いにひとり暮らしをしていました。「そんなに近いのだし、ふたりで住んだほうがお互いに心強いでしょうから、一緒に住んだほうがいいでしょう」と、周囲の人たちによく言われたものです。
しかし、どんなに勧められても、私も妹もそういう気にはなれませんでした。私たち姉妹は、決して仲が悪かったわけではありません。けれども、ライフスタイルが違っていたのです。妹は音楽を教えており、自宅でいつも大勢のお弟子さんに囲まれ、音楽とおしゃべりを楽しんでいました。他方私は、原稿を書く仕事をしており、ひとりでじっくり考えごとのできる環境が必要なのです。
ふたりが一緒に住めば、うまくいかないことは明白で、私たちには、それがはっきりと自覚できていたのです。
お互いに仕事を持ちそれぞれの生活を送りながら、時間が合うと連絡をとって、一緒に食事をしたり出かけたりする。歳をとり、夫を亡くした私にとって、近くに妹がいてくれることはとても心強く、妹にとってもそれは同様でした。
ひとつ屋根の下で一緒に暮らさないことで、私たち姉妹は居心地のよい距離感を保ちつつ、支え合っていたのだと思います。
高齢者の暮らしは、それぞれの好む暮らし方を尊重した上で、孤独にならないよう、周りとほどよい関係を築いていきたいものです。