神戸山口組・井上組長「邸宅没収」の受難(1)神戸山口組本家が消失危機に!
03/15 18:00

分裂下で数多くの抗争事件の舞台になった神戸山口組トップの大邸宅が差し押さえられ、競売にかけられるというニュースが飛び込んできた。六代目山口組が抗争に終止符を打ち、組織固めを進める中、神戸山口組に降りかかった「本家消失」の詳細をレポートする!
六代目山口組(司忍組長)が分裂抗争の終結を宣言して10カ月が経った2月末、衝撃的なニュースが報じられた。
いまだ抗争終結に具体的なリアクションを取らないままの神戸山口組・井上邦雄組長の神戸市内の自宅が、強制競売にかけられることが判明したのだ。井上組長の自宅といえば、神戸山口組にとっての「本家」であり幾度も六代目山口組の襲撃の対象となった。25年1月に拳銃を携えた襲撃者の敷地内への侵入を許し、車両に放火される事件が起きたことも記憶に新しい。
入札は2月24日に公告され、売却基準価格は約5200万円。1カ月後の3月24日に開札されることになっている。つまり、あと2週間もすれば、井上組長が本家から追い出されかねないという緊急事態なのだ。
現役ヤクザ親分の邸宅が国に没収される、というのは異例の事態だが、その予兆はなくはなかった。24年に大阪高裁が、井上組長らに2億7000万円の賠償を命じる判決を下していたからだ。
同裁判で原告となった東京のコンサルティング会社は、20年に神戸山口組傘下組員との金銭トラブルで失った資産、2億5000万円の弁済を、暴対法に基づく「代表者責任」があるとして、井上組長らに求めていた。それが認められた形になったのだ。山口組事情に詳しいジャーナリストが言う。
「トラブルを引き起こしたのは、二代目宅見組(入江禎組長=22年9月に神戸山口組を脱退)の幹部でした。ヤクザの論理でいえば、組員のシノギについて組長が口を出すことはなく、ましてや当時上部団体のトップだった井上組長が関わっている、なんてことはありえません。判決では入江組長もともに賠償を命じられ、昨年2月に大阪府豊中市の自宅を差し押さえられていますが、すでに宅見組が神戸山口組を離れている井上組長にすればまさに降って湧いた話で、完全なるとばっちりと言っていいでしょう」
実は井上組長の自宅は、昨年1月の段階ですでに強制競売の手続きが開始され、神戸地裁に差し押さえられていた。それがここまで延びたのは、別の訴訟を抱えていたからだ。みずから跡目を譲った五代目山健組トップで、現在は六代目山口組若頭補佐の中田浩司組長に、自宅の所有権を巡り提訴されたのである。
中田組長の主張はこうだ。
「山健組関連施設は組員が各自財産を拠出して取得した不動産で、その所有権は組員全員の委任者として組長のものになる」
山健組本部周辺の関連施設とともに井上組長の自宅もその俎上に載ったのは、同邸宅がかつて、引退する五代目山口組・渡辺芳則五代目の別邸として利用してもらうために、山健組組員が資金を出し合って購入した─そんな経緯があったからだった。だが、「組の金で建てたものだから、現在の組長である自分に所有権がある」という主張は司法に認められることはなく、井上組長が勝訴することとなった。
しかし、この判決で逆に、自宅の所有権が井上組長のものであることが確定し、先述した2億7000万円の支払いのために、競売にかけられることが確定してしまう。皮肉なことに、かつての子分との係争が、本家の競売開始を引き延ばしていたのだ。こうした様々な事情が絡み合い、井上組長の受難が今回、表面化したのである。