宇宙の広い範囲を占めている銀河がほとんどない領域「超空洞(ボイド)」とは?
03/11 21:00

星がよく見える場所で夜空を見上げると、空一面がさまざまな星や銀河で覆われているのが目に入ります。ところが、実は宇宙の大半は「超空洞(ボイド)」と呼ばれる銀河がほとんど存在しない空虚な領域だとのことで、科学系YouTubeチャンネルのKurzgesagtがボイドについて動画で解説しました。
Let’s Travel to the Scariest Place in The Universe - YouTube
宇宙の広い範囲はボイドという空虚な空間で占められています。そこは数億光年にわたる広大な空間で、光を発する天体がほとんど存在していません。

人類は記事作成時点までに8000個を超えるボイドを発見しており、その数は今後もどんどん増えていくとみられます。銀河団は非常に巨大な存在ですが、その近くにはさらに大きな空洞が常に存在しているというわけです。

今回はボイドの規模について実感するため、地球から高速で遠ざかりながらボイドを探してみることにします。

太陽系からものすごいスピードで遠ざかっていくと、やがて太陽系を含む銀河系(天の川銀河)の姿が見えてきます。

250万光年離れた場所にはアンドロメダ銀河やその周囲に浮かぶ衛星銀河があります。

これらの銀河は広い規模で見ると、重力やガスの流れ、目に見えない暗黒物質(ダークマター)によって織り合わされた、50を超える銀河からなる局所的なグループとして観測されます。この局所的なグループの幅は約1000万光年ほどだとのこと。

さらに遠くから見ると、およそ1億光年にわたって広がるおとめ座超銀河団の姿が確認できます。

ところが、そのすぐ横には直径2億光年にわたって広がるローカル・ボイドというボイドが存在しています。

仮にローカル・ボイドが完全な暗闇ではなく光を発していたら、地球から見える夜空の約40%はローカル・ボイドの光に包まれることになるとKurzgesagtは述べています。

さらにローカル・ボイドやおとめ座超銀河団の周囲を見ると、いくつもの銀河とその間に横たわるボイドが存在しています。

これまでに見つかっている最も大きなボイドは、幅約3億光年に及ぶうしかい座ボイドです。

うしかい座ボイドの中は人間が考え得る最も完全な暗闇に包まれており、そこには上も下もなく、この外に宇宙があると示す兆候すら見つからない場所です。

しかし、目には見えないもののボイドの内側にはダークマターが存在しており、触手のように張り巡らされたダークマターの先端には、かすかに青みがかったものも見えます。これはボイドの内側にある孤立した銀河で、ボイド銀河と呼ばれます。

かつて天文学者らは、宇宙は銀河が均等に広がっている均一な存在だと考えていました。

しかし、実際には銀河や宇宙ガス、ダークマターなどが網の目状に配置されており、それぞれの分布は均一ではありません。銀河が集合した膜のような存在は銀河フィラメントと呼ばれます。

こうした巨大な構造は宇宙の大規模構造(宇宙の泡構造)と呼ばれます。

巨大なボイドの周辺には組織化された銀河が密集しており、それぞれが時速数百万kmで宇宙空間を移動しながら、より大きな銀河団の中心に向かって移動しているとのこと。

宇宙の大規模構造はシャボン玉の泡にもたとえられ、まるでボイドの周囲に銀河が張り付いているように見えます。

宇宙空間を高速で移動しているにもかかわらず、銀河フィラメントからボイドへと銀河が飛び出さないのは、ボイドの中に侵入することが非常に困難だからです。

密集した銀河団の重力は、移動する銀河を中心へと引っ張っています。一方のボイド側には銀河を引っ張る重力を発する天体が存在しないため、銀河がボイドの内側に飛び出していくことはないというわけです。

これにより、時間が経つにつれてボイドはますます空虚になり、周囲の銀河フィラメントの光はより濃くなるとKurzgesagtは述べています。

基本的に人間がボイドへ飛び込むメリットはありませんが、非常事態が起きた際はボイドへ逃げ出す必要があるかもしれません。

密集した銀河は非常に活発で、近隣の銀河の重力に引っ張られて衝突し、時に合体します。

一方、ボイド銀河は孤立しているため、銀河としての老化もゆっくりです。

そのため、ボイド銀河は宇宙全体が死に向かった際、居住可能なまま残る最後の場所になる可能性があるとのこと。

Kurzgesagtは、「宇宙最後の星はおそらくここで誕生するでしょう。おそらくあと100兆年ほどで、絶望したエイリアンがボイド銀河の中で少しだけ長く生存するため、不可能な旅に乗り出すでしょう」と述べています。

ボイドをユニークな場所にしているもう1つの要素がダークエネルギーです。ダークエネルギーは宇宙全体に浸透し、宇宙の膨張を加速していると考えられている謎のエネルギーであり、最終的には宇宙の終わりをもたらすとされています。

銀河系や銀河団の内部では、重力によって引き寄せられている物質が多すぎるため、ダークエネルギーが何かを行っている様子を見ることができません。

しかし、天体がほとんどないボイドの内部では、ダークエネルギーがボイドを少しずつ押し広げているとのこと。

ボイドが大きくなるにつれて宇宙の大規模構造が壊れ、銀河フィラメントがゆっくりと引き裂かれます。

また、銀河の壁も引き延ばされて細くなり、周縁部の密度が高い領域に引き寄せられていきます。

そして、いつかは2つのボイドが合わさって1つのボイドになるとのこと。

遠い将来、ボイドが宇宙のほとんどを占めることになるだろうとKurzgesagtはまとめました。
