《東京・国立市》夫への暴言暴力が絶えない82歳“DV妻”が夫を殺して逮捕、犯行直後に漏らしたひと言
06/05 05:00
東京都国立市の都営団地の住人から「夫の首を絞めて殺した」と110番通報があったのは、5月23日、午前10時25分ごろのことだった。
容疑者は国立駅近くのスーパーに勤務
「パトカーや救急車のサイレンが響き渡り、団地周辺は騒然とした雰囲気になりました。警察車両が何台も止まり、刑事ドラマに出てくる黄色い規制線テープが張られました」
と、70代の女性は振り返る。
警視庁立川署の警察官が駆けつけると、通報者宅で男性が首にネクタイを巻かれた状態であおむけに倒れて絶命していた。亡くなっていたのは無職・黒川和雄さん(82)。
同署は、通報者で無職の妻・黒川恵美子容疑者(82)を殺人の疑いで逮捕した。
「40代の長男と3人暮らしで、長男は別の部屋にいて犯行に気づかなかったといいます。夫婦は日ごろから口論が絶えず、恵美子容疑者は“夫は息子に暴言を吐くなど家族に迷惑をかけていた。堪忍袋の緒が切れた”と話しています。後ろから絞めあげた窒息死とみられますが、遺体の頭にはコブもあり“棒で頭を叩いた”と説明しているようです」(全国紙社会部記者)
一家は約20年前、市内の別の集合住宅から転居してきた。3LDKで現在の家賃は約6万4000円。
夫婦そろって小柄なぽっちゃり体形だったが、加齢とともにスリムに。特に恵美子容疑者は昨年ごろから一段とやせ始めた。
「頬がこけ、鼻に管を入れて酸素ボンベを台車で引いて歩くようになりました。半年前には膀胱がんで一時入院したものの、手術はできなかったらしく、本人は“転移して抗がん剤治療しているの”と話していました。最近はボンベも引いていませんでしたし、少し元気になられたのかなと思っていたんですが……」(60代の女性住人)
なれそめは45年以上前に遡る。当時、和雄さんはJR国立駅近くにあったスーパーの精肉店で働いており、同じスーパーに勤務する恵美子容疑者と恋愛関係に。
和雄さんは初婚、恵美子容疑者は再婚で前夫との間に息子がいるが、前夫が引き取ったという。恵美子容疑者が周囲に話していたところによると、離婚原因は前夫のDVだった。
「和雄さんは無口でおとなしいタイプ。仕事ぶりがまじめで信頼が厚かったですね。職場では“クロちゃん”と慕われていました」(当時を知る男性商店主)
ふたりの間に長男が生まれると、恵美子容疑者は仕事を辞めて専業主婦に。
「恵美子さんはサバサバした感じ。長男が若いころは“息子はバンド活動をしているの”と、うれしそうに話していました」(以前の自宅近くの女性住民)
和雄さんは精肉店を定年まで勤めあげ、退職後は年金収入があったほか、別の精肉店でパート勤務して、月10万円程度を稼いでいたという。
一方、恵美子容疑者はパチンコ好きだった。地元のホールに連日通い詰め、人気機種『海物語』を打ち込んでいた。
「だいたい負けていました。恵美子さんが“ウチもどこか旅行に行こうよ”と、和雄さんにねだったところ“毎日パチンコに行ってるんだから、それで十分だろう”と切り返されたそうです」(地元住民)
和雄さんは言い返すことはあっても、恵美子容疑者にほぼ逆らえなかったとみられる。買い物帰りに前を歩くのはいつも恵美子容疑者で、少し遅れて両手に買い物袋をさげた和雄さんがついていった。
和雄さんのひそかな楽しみはタバコとビール。自宅だと「タバコを吸うな、酒を飲むな」と恵美子容疑者らに責め立てられるため、近くのコンビニで缶ビールを購入し、こっそり喫煙コーナーで一服しながら喉をうるおすのが至福のときだったという。
決定的な亀裂は、和雄さんが昨年パート勤めを辞め、四六時中お互いの顔を突き合わせるようになってから。元来ズバズバ言うタイプで「バカ」などと言葉遣いが乱暴だった恵美子容疑者は手を出すようになっていた。
夫をひっぱたいたら手が腫れた
「数か月前、恵美子さんの手の甲が腫れ上がっていたので“その手、どうしたの?”と尋ねたら“旦那のことが頭にきたから、ひっぱたいてやったら腫れちゃった”と言っていました」(同団地の住人、以下同)
住人らによると、恵美子容疑者は長男には甘かった。生活が苦しそうなときに「息子さんにもっと稼いでもらったら?」と言うと、黙りこくって言い返さなかったという。
「別の物件を息子さんが借りたことなどについて和雄さんと口論になっていたようです。今も2部屋を息子さんが使っていると聞いていましたから、別に借りなくてもよさそうですが」
実際、どうだったのか。自宅を訪ねてインターホンを押すと、長男とみられる男性が「はい」と、か細い声で応答した。ところが、取材したい旨を告げるとブチッと切られ、再度押しても応答はなかった。
恵美子容疑者は110番通報した直後、住居棟のエントランス前の路上に出ていた姿を目撃されている。通りかかった知人らしき住人に対し「ついにやっちゃった」と言い、何をやったのか尋ねられると「旦那を殺しちゃった……」とつぶやいたという。
長年連れ添いながら、なぜ悲しい結末を迎えたのか。