出生数減少「危機的な状況」初めて70万人下回る、来年は60年ぶり「丙午」、エンタメの増加も一つの要因?【Nスタ解説】
06/04 21:13
去年1年間に生まれた子どもの数は約68万6千人で、初めて70万人を下回ったことがわかりました。
今と何が違う? 戦後のベビーブームでは年間の出生数は約270万人
山形純菜キャスター:
4日に公表された「2024年人口動態統計」によりますと、2024年の1年間に生まれた子どもの数は68万6061人で、初めて70万人を下回りました。
2024年に死亡した人の数から、生まれた子どもの数を引いた「人口の減少幅」は91万9237人で、これは過去最大だということです。
厚生労働省は「少子化に歯止めがかからず、危機的な状況だ」としています。
こうした人口減少・出生率の低下が続くと働き手も減るため、経済全体の規模が縮小、それから社会保障の担い手が減少し社会保障費の負担が増えていくことになります。さらには地方の衰退など本当に大きな課題・問題が見えてきます。
ではなぜこんなに出生数が減っているのか、出生数の推移を見ながら考えていきたいと思います。
第1次ベビーブームの1947年ごろには、1年間で約269.7万人の赤ちゃんが、そして第2次ベビーブームの1971年ごろには約209.2万人の赤ちゃんが生まれています。(厚労省より)
では、なぜこれほど赤ちゃんが生まれていたのでしょうか。
まず、第1次ベビーブームの1947年からの3年間は、戦争が終わって生活が安定したことで結婚・出産する人が増えました。そして第2次ベビーブームの1971年からの4年は、第1次ベビーブームで生まれた子どもたちが親世代になって結婚・出産する人が増えたということなんです。
またこの時代は高度経済成長期で、経済的不安が少なかったというのも大きな要因の一つだと考えられます。
そして出生数の推移を見ていくと、1966年に急激に減少しています。この年は丙午(ひのえうま)という年で、十二支と十干の組み合わせにより60年に一度やってくるものです。
この丙午に生まれた女性は気が荒く、嫁ぎ先に災いをもたらすという迷信があることから、生み控えが増加したそうなんです。前年から約46万人も出生数が減りました。
井上貴博キャスター:
今のコンプライアンスでは考えられないですね。
出水麻衣キャスター:
でも出生数がすごく減っているから、当時は信じられていたということですよね。
山形キャスター:
人数が少なくなったからなのか、予備校や学習塾の倒産も急増したそうなんです。
そして“丙午生まれのあるある”を聞きました。
人が少ないということで「『受験楽だったでしょ』と言われるけど、浪人できないというプレッシャーもすごかった」ということなんです。
それから同級生の恋人ができると、「『気が荒いから結婚すると大変だぞ』と言われた」という人もいました。
止まらない出生数の減少… エンタメの増加も一つの要因?
そして2024年の出生率が過去最少になったということで、なぜ減少したのか街の人にも聞いています。
36歳 妊娠9か月の女性
「昔よりは子育ての支援だったり補助金とかは増えてますけど、そんなんじゃまかなえない。産め産めって言ってる割には(支援が)全然だなと思います」
50代夫婦 子ども3人
「子育てに時間を使える環境にあったので、特に不安はなかった。娘も職場で(産休で)周りの方に迷惑かけたらどうしようとか」
30代既婚 子どもいない
「自分の時間をとりたいタイプなので、子育ての時間と自分のプライベートを両立させるのも、いろいろ考えて先延ばしになっちゃってます」
出水キャスター:
今はインターネットでいろいろな情報が見られるじゃないですか。そうするとプラスの情報もあれば、不安になっちゃう情報もあって、そういう情報におどらされてしまってなかなか一歩踏み出せていないなって今思いました。
岸谷蘭丸さん:
やっぱり(現代は)エンタメが多すぎるということは大きいと思います。田舎ほど子どもを産むのが早い、多いというのと同じだと思うんですけど、昔はやることなかったから子どもを産んでいたところもあると思う。
今は月数千円でサブスク見放題。やることがいっぱいあってエンタメが多いと、「子どもなんてコストかかるし、こっちでいいか」となってしまうことが多いんだろうな、というのは特に僕の世代は思いますね。
井上キャスター:
個人的には少子化対策は大賛成で進めるべきだと思うんですけど、テレビやメディアは「少子化がとても危険だ」と報じるじゃないですか。でもある意味でもう少子化は避けられない将来なので。
日本を例えば8000万人ぐらいの規模で、どうやって成長させていくか、AIを入れるのか、テクノロジーを入れるのか。世界中が少子化していくので、それを前提にどういう国にしていくか、という議論の方が私は興味があります。
岸谷蘭丸さん:
本当におっしゃる通りですね。絶対シュリンク(減少)してしまうものに対して「もう終わりだ」と言ってもしょうがないわけで、それをどこに需要を作っていくか、購買力をどう高めるかというグローバルなやり方も必要。かといって少子化を諦めちゃいけない。多角的なアプローチが建設的ですよね。
==========
<プロフィール>
岸谷蘭丸さん
イタリア名門ボッコーニ大学在学 23歳
岸谷五朗と岸谷香の長男
海外大受験塾「MMBH」設立
教育・多様性などについて発信