〈また兵庫の選挙がカオス…〉「同じ場所で演説やります!」立花孝志が泉房穂に“追跡宣言”で逆2馬力選挙! 知事選の因縁か、コバンザメ街宣で兵庫選挙区が修羅場〈参議院選実況中継〉
07/05 11:00
政権選択がかかり公示初日から全国で過熱している参院選。そのなかでも、ひときわカオスの様相を呈しているのがまたもや兵庫県だ。昨秋に斎藤元彦知事が逆転勝利を収める原動力となったNHK党の立花孝志氏が兵庫選挙区で出馬。批判する無所属の泉房穂氏の後で同じ場所で街頭演説をすると宣言した。これを嫌った泉氏は街宣日程を明かさず、立花氏の“追跡”をかわしている。斎藤知事を勝たせた“2馬力選挙”の形態で今度は他候補批判を行なう立花氏の戦略の行方は——。
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パワハラ音声暴露された泉房穂氏も立候補、兵庫選挙区は波乱だらけ?
参院選、兵庫選挙区は改選数3に対し13人が立候補した。7月3日の告示日は石破茂首相が第一声を上げるため神戸入りしたほか、4日には国民民主党の玉木雄一郎代表や参政党の神谷宗幣代表が姫路を訪れるなど、各党の乱打戦の主戦場となっている。
「前回の参院選では維新、公明、自民が議席をとりました。今回は有力政党がみな候補者を出したので当選ラインが下がり情勢は混とんとしています。
そのなかで明石市長を12年務めて、子ども子育て政策などが評価され、テレビに多く出ている泉氏は知名度で頭一つ抜けています」と地元記者は話す。
ただ泉氏は民間の建物の立ち退き交渉を巡って、作業が遅いと腹を立て「火ィつけてこい。火つけて捕まってこい」などと市職員を怒鳴っているパワハラ全開の音声が暴露されたことがある。
泉氏はこれを背景に2022年に市議会で問責決議案が可決されると、任期を終えれば選挙に立候補せず政治家を引退する意向を表明していた。
「しかし昨年、斎藤知事が県議会の不信任決議を受け失職し、出直し選に出た過程で、当初対立候補として泉氏の名が取りざたされたり、不信任決議案提出をあおるSNS投稿をしたりして、政局にかなり手を突っ込んでいた印象です。
その後、ことし3月に参院選に出ると宣言すると、すぐに立憲民主党の推薦を取り付けたんです」(県議会関係者)
一方、立花孝志氏は昨年11月の兵庫県知事選に「当選するつもりはない。斎藤知事を応援する」と言って出馬。後に県議会の調査特別委員会(百条委)や県の第三者委員会が認めた斎藤知事のパワハラ疑惑などは「全部うそで、斎藤さんはハメられた」と演説で主張した。
「立花氏は選挙で、斎藤知事の演説直後に同じ場所で演説を行なうことを繰り返し、疑惑を提起した元県幹部や、百条委で疑惑を調べた県議らを批判しました。その動画がSNSで拡散し、これが当初劣勢だった斎藤知事が再選された大きな力になったとみられています。
しかし当選を目的とせずに立候補し、選挙運動の名を借りて他の候補者を応援する“2馬力”と呼ばれる手法は、選挙の公正性を揺るがすと大きな問題になりました」(社会部記者)
その立花氏、今回の選挙では本気で当選を目指しているのか?
「立花氏は今回の選挙では当選を目指しているようです。そのために『自分が一番斎藤知事のことを応援しており、既成政党は知事を敵視している』との構図を訴えています」と地元記者は話す。
実際、立花氏は3日の第一声で、
「今回の兵庫県のこの選挙、これは斎藤さんを守る(選挙だ)。それこそ私以外の人、みんな斎藤さんの足引っ張ってんだ、自民党も立憲民主党も公明党も国民民主党も」
と強調した。斎藤知事は出直し知事選で111万票を獲得しており、この斎藤支持票を引き寄せようと考えている気配だ。
“コバンザメ街宣”の追跡を相当警戒している泉氏
この戦略の一環で、知事の不信任決議案提出の前後に姿が見え隠れした泉氏を批判する戦術を取っているとみられる。
「立花氏は6月29日に行われた兵庫県三木市長選にも出馬し落選しています。市長選では泉氏批判に力を入れ、泉氏が明石市長を離れるきっかけになった『火ィつけてこい』という音声を街頭演説で流したりしてました」(地元記者)
そして市長選さなかの6月25日、すでに参院選出馬を表明していた立花氏はSNSで、
〈(参院選の)選挙運動期間に入ったら泉房穂候補の選挙演説の後に私が、選挙演説をしていく予定です! ぜひ、泉房穂候補と私立花孝志の演説を同じ演説場所でお聞き下さい。〉
と表明。知事選でアシストするために斎藤知事について回った“コバンザメ街宣”を、今度は泉氏を批判するために行なう、と宣言した形だ。
告示前日の7月2日には、
〈何度でも発信したい。泉 房穂氏は、暴言を繰り返したため、2度と選挙に立候補しないと断言した人。暴言パワハラ嘘つき野郎です。〉
とポスト。泉氏のパワハラ問題を集中的に取り上げることを事実上予告した。
これに泉氏の陣営は防御策を取っているとみられる。
「泉氏は最も知名度があるにもかかわらず、事前に告知し有権者を集める街頭演説を行なっていません。3日は姫路沖の瀬戸内海に浮かぶ男鹿島(たんがじま)で第一声を上げ、泉氏はXでその理由を“私は、他のどの候補者よりも『地域』を大切にしたいと思っている”と書いています。
その後も周辺の島を回って夕方にはJR姫路駅前で街頭演説をしましたが、これも一般への事前告知はなし。
4日は昼ごろに午後の遊説先をSNSで発表しましたが、いずれも立花氏が前日に予告した街宣場所とかなり離れた地域で、距離を置こうとしているのではないでしょうか」(地元記者)
陣営関係者は事前告知しないことについて「混乱が起きることを私たちは一番恐れています」とだけ話している。
そして公示日の3日午前、泉氏が向かった離島について行けなかった立花氏は、昨年の知事選初日に斎藤知事について最初のコバンザメ街宣を行なったJR神戸駅近くの公園で選挙演説を開始。
「日本のトランプ、立花孝志でございます。日本のトランプと言う以上は外国人不法移民、これはもう追い出します」と言いながら泉氏批判を展開し、演説直前にはXに〈隠れ立憲民主党の 【泉房穂】候補が街頭演説の予定を隠している〉とも書き込んだ。
泉氏は姫路での演説で、斎藤県政や立花氏には一切触れず、明石市長時代に市民生活を向上させたという実績を強調し「遅くても3年以内にこの国の総理大臣を国民の方を向いた、まともな総理に変える」と訴えた。
知事選の陰を引きずりながら、炎天下の選挙は続く。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班