石丸新党、街頭演説で見えた“ファンの高齢化” 動画再生数はダントツでも崖っぷちの理由〈参議院選実況中継〉

3日に公示された参院選。東京選挙区では、地域政党「再生の道」が、大手町で第一声を行なった。都議選では0議席と惨敗の結果となったが、参院選では挽回の余地があるのか。石丸新党の初日を追った。 

〈画像〉「交通費を数万円以上使っていた」と記者に“長すぎる履歴”を掲示した石丸ファンの女性

ボディガードを伴い、選挙演説を開始 

7月3日、参院選が公示された。この日、東京選挙区から参院選に出馬する吉田あや氏(40)とともに石丸伸二代表(42)は都内数か所で街頭演説を実施した。集英社オンラインは、渋谷の宮益坂下、新宿駅東南口、新宿駅旧アルタ前での街頭演説の様子を取材した。

渋谷での街頭演説では石丸代表が「再生の道は今年の1月に設立をしました。この7月の参院選で初めて国政に挑みます」とマイクで声を張り上げた。政策については教育に焦点をあてると訴え、政策の3つの柱として教育人材、教育内容、教育環境について語った。

その後、石丸代表は「ロシア語もしゃべれるってことなんで、ロシア語も交えて自己紹介してください」と参院選に立候補し、再生の道で唯一の女性候補者である吉田あや氏を紹介し、演説をバトンタッチした。

 「もしかしたら渋谷は海外の方も多いので、ちょっとだけロシア語でお話ししてもいいですか?」

流暢なロシア語であいさつをした吉田氏は4歳の子を持つ母で、上智大学外国語学部ロシア語学科を卒業後、日本貿易振興機構、在ロシア日本国大使館へとキャリアを歩んだ。都議選での出馬を検討していたが、石丸氏からのオファーで参院選に出馬した。

吉田氏の演説がひと通り終わると、吉田氏が街頭演説を聞いている人たちに対して握手をして回り始めた。石丸氏はボディガードの男性の近くに立っていて自ら握手に回るという感じではない。

社会部記者によると、「政治家などが銃撃されたり、過激な他党から選挙妨害などを受け始めたことで、セキュリティは厳しくなっている。各党が民間のSPを雇ったり、大物政治家には警察のSPが増員されている。数年前みたいに、気軽に接触はできなくなっています」という。

いっぽうで、石丸代表のファンと思しき男女が、石丸代表に近寄り声をかけると、警備の男性らに警戒されつつも、石丸氏は握手に応じるファンサービスを見せる一幕もあった。

渋谷、新宿で街頭演説を聞いている人はいずれも数十名で、土地柄か若い20~30代の姿が目立った。石丸ファンであろう紫色の服を着た男女の姿も目立った。年配の女性はスマホのケースも紫色で、撮影するためにスマホを掲げていたが、スマホケースに石丸代表の写真入りの名刺のようなものが見えるように入れられていた。

また、新宿駅では紫色のショールやストールを着用した女性が吉田氏にサインをもらいにいく場面もあった。スタッフ以外にも紫色のTシャツを着た人がおり、石丸代表の根強い人気が垣間見える。

石丸氏のファン層について、政治部記者が話す。 

「都議選のころは20〜30代の若手が多かったが、最近は年配の方が目立つ。都議選の最終日に石丸さんが行なった東京駅前での演説も、最前列は年配の方がほとんどだった。去年の都知事選では、石丸ファンの若年層が最前列にいることが目立っていたのに、この1年ですごい変わりようです」 

石丸旋風が家庭内にも吹いた!

実際に応援に駆けつけていた年配の方の声も聞けた。なかには「石丸氏の顔に惹かれた」と支持者になった人もいた。応援に駆けつけていた60代の女性が語る。

「(石丸さんは)イケメンじゃないですか。最初はそこがきっかけでしたね。実際に都議選でも、政治参画を目的として民意にゆだねると一貫してその姿勢を貫くなど、そういったところが誠実に見えます」

さらには、家庭内や財布にまで石丸旋風を巻き起こしたという。

「石丸さんを知るまではネットの検索履歴も『高血圧』とか『BTS』とかが多かったのですが、今はもう石丸さんばかりになりました。家族にも石丸さんのことを教えたのですが、結果、家族みんなで応援するようになりました。都議選から、再生の道の街頭演説がある際は毎回行っています。この間、交通費の履歴を出したら数万円以上使っていてびっくりしました(笑)」

ほかにもこんな声が聞こえた。

「応援しているのは再生の道ですね。理由は石丸代表の人柄です。都議選は残念でしたけど、石丸代表はこれまで自分の言ったことに対して一貫してブレてないです。その姿勢は安芸高田市長時代からそうですし、私はずっと応援していますし今後も応援していきたいと思っています。石丸さんを知ったきっかけはYouTubeを見てですが、いつか言ったことを必ず成し遂げる人だと思っています」(60代女性・東京都在住)

証明された動画再生回数の意味のなさ…若者の飽き目立つ

いっぽうで、「再生の道は崖っぷちでもある」との指摘も。政治部記者が解説する。

「石丸さんは都議選の投開票日に会見を行ない、『満足がいく結果』だと話しました。というのも再生の道の目標は、都議選に候補者を擁立することだから、と。でもその後、YouTubeチャンネル『ReHacQ―リハック―』では、『申し訳ないけど僕の中でトライアルだった』などと発言され、一部の候補者は不満を漏らしています。

また、石丸さん個人のファンが多いことから、再生の道の候補者になかなか目が向かないという弱点もあり、それもあって都議選では石丸旋風は巻き起こらなかった」

選挙情報サイト「選挙ドットコム」を運営するイチニ(東京)が、東京都議選期間中のYouTube再生回数を調べると、公認候補が全員落選した「再生の道」がダントツで多かった。

6月13~21日までの間、再生の道の再生回数は約3200万回でもっとも多く、次に多かった国民民主党の約1400万回で、2倍以上の差をつけた。

前出の政治部記者が解説する。

「動画の再生回数が必ずしも議席につながるとはならないことが証明された。現行勢力に対して歯に衣着せぬ言い方をする石丸氏の姿は、都知事選のころだと物珍しさがあり評価されたが、その後、同じような人や党が出てきたことで、“飽き”が起きてしまった。だからネットを使いこなす情報感度が高い若年層が離れていったのでは。同じやり方では、今回の参院選も厳しいのでは」

石丸新党、初議席の獲得はまだ遠いか――。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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