カフェなどの「サンマルクホールディングス」M&A戦略を転換 牛カツ業態の成長加速に軸足
11/26 06:30

カフェやレストランを運営するサンマルクホールディングス<3395>がM&A戦略を転換し、5年間(2025年3月期~2029年3月期)に100億円以上としていたM&A投資枠を削除した。
2024年に牛カツ業態の2社をM&Aで取得し、将来の成長の柱となる第3のブランド獲得という目標を達成したためだ。
同社では引き続きM&Aによる業態拡大に取り組む方針で「追加のM&A案件があった場合は借入によって実施する」としている。
ただM&A投資枠を削除する一方で、新たに牛カツ業態の成長加速に向けた投資枠を設けており、当面は積極的なM&Aからは遠ざかることになりそうだ。
牛カツ業態の設備投資に45億円
サンマルクホールディングスは、2024年11月に牛カツ定食店「京都勝牛」を展開するゴリップを傘下に持つジーホールディングスを買収。
さらに1カ月後の同年12月には、牛かつもと村を傘下に持つB級グルメ研究所ホールディングスを子会社化した。
買収価格は両社合わせて約220億円に達し、当初計画していた100億円以上としていた投資枠を大きく超えた。
このため、2025年3月期から2029年3月期までの5年間のキャピタルアロケーション(資本配分)を見直し、M&A投資枠を削除した。
さらにM&Aの借入返済・利払い費用として100億円を計上するとともに、牛カツ業態の設備投資に45億円を計上した。
M&A投資枠を削除し、牛カツ業態の投資枠を新たに設けたことで、軸足がM&Aから牛カツに移ったといえる。

業績目標を引き上げ
またサンマルクホールディングスはキャピタルアロケーションの見直しと並行して、経営計画の数値目標も修正した。
当初、2029年3月期に800億円としていた売上高を、1000億円に引き上げた。
牛カツ業態2社の買収によって増収となるためで、すでに2026年3月期は売上高880億円(前年度比24.1%増)を予想しており、当初の目標は3年前倒しで達成できる見込み。
一方で、M&Aに伴いのれんの償却費が発生することから、当初65億円としていた営業利益の目標は削除。
代わりに、のれん等償却前営業利益(のれん、商標権の償却費を営業利益に加算した利益)として90億円を計上した。
2026年3月期の営業利益予想は50億円(同37.2%)で、大幅な増益となるものの2029年3月期に目指していた65億円には届かない見込み。
次に獲得する業態は
飲食業界は、食材費や人件費などの上昇に伴い採算が悪化し、倒産が増加傾向にある。
帝国データバンクが2025年7月に発表した「飲食店の倒産動向」によると、2025年上半期の飲食店の倒産は458件で、前年同期(435件)を上回り3年連続で増加。上半期としては過去最多を更新した。
今後も経費の高騰や賃上げなどで収益が圧迫され、中小・零細事業者を中心に倒産の増加が続くと見ており、通年では初の900件台に達する可能性もあるとしている。
一方、大手による業態拡大などを狙いにしたM&Aは活発化している。M&A OnlineのM&Aデータベースによると、2025年は11月19日時点で外食・フードサービス業界のM&Aは38件に達し、過去10年間で最多だった2024年と並んだ。通年では過去最高を更新する公算が高い。
サンマルクホールディングスが2006年の上場以降に適時開示したM&Aは、牛カツ業態の2件のほかは、2022年の京都を代表する喫茶店ブランドとして知られる「喫茶マドラグ」4店舗を展開するLa Madragueの子会社化の1件にとどまる。
M&Aによる業態拡大から、牛カツ業態の成長加速にシフトした同社が、再びM&Aに舵を切るのは先のことになりそう。次に借り入れに頼ってまで獲得しようとするのは、どのような業態になるだろうか。

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文:M&A Online記者 松本亮一
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