AIのせいで水不足の可能性。2030年には「ニューヨーク1日分の水」が必要に
03/15 21:00
GIZMODO

AI活用の広がりと比例して問題が大きくなっている“環境・資源”の話。
AI台頭によるデータセンターの莫大な水消費量は、環境や人々の暮らしにおいて大きな不安材料となっています。
カリフォルニア大学リバーサイド校の電気工学准教授であるShaolei Ren氏の新たな研究では、2030年までにデータセンターに追加で必要となる水容量が、「ニューヨーク市の1日の水供給量と同等にまで増加する」といい、データセンター成長には水資源の限界が大きなボトルネックになると指摘しています。
なんでそんなに水が必要?
データセンターは24時間365日稼働し続けます。そこからは、ITインフラが生みだす熱が発生しますが、クラッシュ原因となるオーバーヒートは設備の大敵。クーリングシステムはITインフラの命綱であり、最も効率的なのは液体冷却技術でこれには膨大な量の水が必要です。データセンター誘致が地元民から懸念されることの1つに、「データセンターによる水不足」があります。
テック企業側は、冷却に使う水はリサイクル可能でシステム内部で循環させており、実際の水資源消費は最低限にとどめられていると言います。が、その最低限の水を使う気化冷却システムですら、そもそもの水使用量が莫大なのです。
控えめに言って「莫大な水が必要」
Ren氏の研究では、1年の中でも暑い季節の場合、大型データセンターが気化冷却システムで使用する水の量は1日100万ガロン(約380万リットル)。現在計画中のデータセンターの中には、1日800万ガロン(約3000万リットル)ともなる可能性がある施設も。
公共水道システムは、常に最大需要を満たせることを考えて設計されていますが、データセンターの存在は、水インフラ設備にとって致命的な問題となる可能性があります。というのも、一般的にデータセンターの水資源使用は年間使用量で明かされることが多く、ピーク時にどれぐらい必要なのかがあいまいだからです。
今回のRen氏チームの研究では、公的データから、データセンターのピークを予想。その結果、2030年にはアメリカのデータセンターのピーク時期の新たな水容量の需要は、1日6億9700万から14億5000万ガロン(26.4億〜54.9億リットル)。これは、ニューヨーク市全体の水使用量と同等です。これに耐えうるよう水道システム施設を増強するには、100億ドルから580億ドルの予算が必要となります。
Ren氏いわく、この莫大な数字予想でも控えめ想定で出しているとのこと…。
データセンターの水消費と水道設備のバランンス。これを調整するために、Ren氏チームが提案するのは、企業側のより踏み込んだデータの公開。年間水使用量ではなく、ピーク時の使用量データを公開することがどれだけ大切かを指摘しています。また、データセンター計画において、水使用量データに基づく、既存設備増強に必要なコストの企業側負担の必要性も指摘しています。
Ren氏の論文はarXivで読むことができます。