電気代を自分で賄える家。6割が知らない「ZEH」をおさらいしよう
05/09 19:00

電気代が上がった、また上がった…ここ数年、毎月の光熱費明細を見るたびにため息をつく人は少なくないはず。どうにか出来ることはないものか…という打ち手の一つが省エネ対策である「ZEH(ゼッチ)」です。
これから新しく家を建てようとしたり、リフォームしようとしたり人なら「今ならZEHですよ」なんて担当者から言われるかもしれません。でも、そこで「…なんですかそれ?」となってしまうと、ちょっともったいない。
とはいえ、それも無理はないかもしれませんからご安心を。実際、すでに持ち家の一戸建てに住む400人を対象にした調査によると、「ZEHという言葉をよく分からない」と答えた人は59.5%を占めました。さらに、住宅購入時に省エネ性能を「重視していなかった」と答えた人も66.3%にのぼります。
一方で、「今後は省エネ性能の優先度が上がると思う」と答えた人は78%。言葉は知らなくても「必要だ」という感覚は多くの人が持っている。それなら、いまこそZEHを理解しておいて損はないはず。一緒におさらいしましょう。
「省エネ」と「創エネ」の合わせ技
ZEHとは「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略称です。読み方は「ゼッチ」。 一言でいうと「家で使うエネルギーの収支をほぼゼロにする住宅」です。
大きなポイントは2つ。冷暖房をガンガン使わなくても快適に過ごせるよう、壁や窓の断熱性能を高めて省エネを実現する(省エネ)。さらに太陽光発電パネルなどで自分でエネルギーを作り出す(創エネ)。
これらを組み合わせることで、消費エネルギーと作ったエネルギーの差がゼロになることを目指す。それがZEHのコンセプトです。
スコア換算で言うと、ZEHでは通常の住宅と比べて高断熱と省エネによる一次エネルギー消費量を20%以上削減した上で、太陽光発電などの再生可能エネルギーで収支をプラスマイナスゼロにすることが条件です。断熱等性能等級は5以上が必要で、壁の材質や窓の造りにまで基準が設けられています。

ZEHに住むと、暮らしはどう変わるのか
「省エネ」というと節約イメージが先行しますが、ZEHのメリットは光熱費の削減だけではありません。
まず快適さ。断熱性能が高い家は、夏は外からの熱が入りにくく、冬は室内の暖気が逃げにくい構造です。エアコンをつけっぱなしにしなくても室温が安定しやすく、部屋と廊下・浴室の温度差が小さくなります。
この温度差で起きる問題の一つが冬場のヒートショック。暖かい環境と寒い環境を急に行き来すると、温度変化による心臓発作や脳卒中のリスクが高まってしまうんです。特にご高齢の家族がいる家庭であれば、省エネと同時に安全性も向上するわけですね。
次に防災面。太陽光発電と蓄電池を組み合わせておけば、台風や地震による停電時でも電気が使えます。スマートフォンの充電、冷蔵庫の保冷、生活上の照明など、ライフラインが機能する家は大きな安心感につながります。
グレード違いの 「ZEH」と「ZEH+」があります
ZEHには、上位グレードの「ZEH+(ゼッチプラス)」もあります。ZEHとZEH+の違いは主に2点です。
一つは省エネ性能。一次エネルギー消費量において、ZEHが再エネを除いて20%以上の削減であるのに対し、ZEH+は30%以上の削減が求められます。
もう一つは断熱基準の高さ。ZEHが断熱等性能等級5以上なのに対し、ZEH+は等級6以上が必要です。断熱等性能等級の高さは、魔法瓶をイメージしてみてください。温かいものや冷たいものを魔法瓶に入れると、その温度を長くキープしてくれますよね。ああいうふうに、家のなかによりエネルギーを閉じ込められる構造になるんです。
さらにZEH+では、「蓄電システム」「おひさまエコキュート(昼間に沸き上げをシフトする給湯機)」「EV充電設備」「太陽熱利用システム」などのうち、少なくとも1つ以上を導入することも条件として加わります。
他にも細々とあって、住んでいる地域によっても少しグレードが分かれます。まとめると以下の通り。
・ZEH:省エネ20%以上削減+断熱等性能等級5以上+太陽光等で収支ゼロ
・ZEH+:省エネ30%以上削減+断熱等性能等級6以上+自家消費拡大設備の導入
・Nearly ZEH / Nearly ZEH+:日照が少ない寒冷地・多雪地域向けの特例グレード(再エネによる収支が75%以上でも認定)
・ZEH Oriented:都市部の狭小地や多雪地域向けで、太陽光パネル未導入でも省エネ基準を満たせば認定
国の目標になっているZEH、補助金も出ます
日本政府は「2030年度以降に新築される住宅についてZEH基準の省エネ性能の確保を目指す」と閣議決定し、経済産業省・環境省・国土交通省の3省が連携してZEHの普及を推進しています。 この流れを後押しする形で、ZEHに取り組む人へ向けた補助金制度も用意されています!
令和8年度ZEH補助金パンフレットによると、補助事業は新築住宅と既存住宅の両方をカバーしており、それぞれ次の通りです。
またここで言う「地域」は日本全国を気候条件に基づいて「8つのゾーン」に分けたもの。ざっくり言うと数字が小さいほど寒冷地、大きいほど温暖です。1〜3地域は北海道・青森などの寒冷地、4〜8地域はそれ以南です。東京・大阪・名古屋といった主要都市は概ね「5〜6地域」ですね。
【新築戸建ZEH】
・ZEH(1〜3地域) :55万円/戸+追加補助あり
・ZEH(4〜8地域):45万円/戸+追加補助あり
・ZEH+(1〜4地域) :90万円/戸+追加補助あり
・ZEH+(5〜8地域) :80万円/戸+追加補助あり
「追加補助」は、蓄電システム(上限20万円)、EV充電設備(上限10万円)、太陽熱利用システムなどを追加導入すると補助額が加算されるものです。ZEH+の場合、追加設備の組み合わせ次第で最大180万円に達するケースも!
それと、「うちはもう家が建ってるから関係ない」と思った方、既存住宅向けの補助事業もあります。
【既存住宅向けZEH】
・ZEH+改修(既存住宅を大規模改修してZEH+水準に引き上げる場合):断熱等性能等級6以上への改修や省エネ設備の刷新を条件に、改修費用の1/3(上限は地域区分により300〜400万円/戸)を補助。
・ZEHリノベ(部分的な断熱改修でZEH水準を目指す場合):窓の断熱改修や断熱材の施工など、改修工事の内容に応じた定額が積み上がる方式で、上限250万円/戸(下限10万円)の補助。例えば、内窓設置は1㎡あたり22,000円、外壁・断熱材施工なら1㎡あたり2,500円、エコキュートなら1台6万円といった形で積算します。
なお、補助金の申請には「ZEHビルダー/プランナー」として登録された施工会社の関与が必要です。2026年度の一般公募(単年度事業)は2026年5月21日〜12月11日まで受け付け中です。詳しくは公募情報をチェック。
さらに!国の補助金に加えて、都道府県や市区町村独自の補助制度も多数存在します。
国の補助金と国費が充当されていない地方自治体の補助金は原則として併用可能です。 例えば、東京都では「東京ゼロエミ住宅」として独自の認証・補助制度を設けており、ZEH水準を満たす新築住宅には追加の助成が受けられます。
新築の際は住所地の都道府県・市区町村の制度も調べてみると、さらに良い条件がそろうかも。各自治体の住宅省エネ担当窓口に確認してみましょう!
「よく分からない」から「だいたい分かった」になれました?改めてまとめてみると…

ZEHとはなんぞや、についてまとめてみましたが、ここまでの話を整理してみましょう。一旦、以下を覚えておけば話はできます。
・ZEH(ゼッチ)とは省エネ(断熱・高効率設備)と創エネ(太陽光発電など)を組み合わせて、エネルギー収支をゼロにする住宅
・上位版のZEH+(ゼッチプラス)はさらに断熱・省エネ性能が高く、自家消費設備の導入も必要
・光熱費の削減、快適な室温、防災力向上という3つのメリットがある
・新築なら55〜90万円+追加補助、既存住宅向けの改修補助や診断補助も用意されている
・国の政策目標であり、2030年以降は新築の「当たり前」になる方向で推進している
今すぐ家を建て替える予定はなくても、知っておいて損はない知識です。電気代の話が出たとき、家族の健康の話が出たとき、防災の話が出たときにも、ZEHという選択肢を頭の片隅から思い出してみましょう。
Source:PR TIMES , ZEH Web, 令和8年度ZEH補助金パンフレット(PDF), 経済産業省 資源エネルギー庁