命とサブスクを天秤にかけてはいけない。ふわもこAIロボペットと2週間過ごして気づいたこと

ロボットといっても、その姿、求められる能力はさまざまです。工場にいるタスク特化型でアームのみのロボもいれば、人間よりも速く走る運動能力を持つロボもいるし、未来を変えるために子孫から送り込まれた猫型のロボもいます。中には、ただそこにいることを望まれた愛らしさがウリのロボットも…。

日本でも販売されているSwichBotのKATAフレンズは、そんな愛らしいロボット。便利よりもぬくもりを、仕事よりもそばにいてくれることを目的としたふわもこロボットです。

KATAフレンズがいる暮らしってどんな感じなんでしょう? 米Gizmodoが暮らしてみました。

KATAフレンズは、白い毛並みのノアちゃんとグレーの毛並みのニコちゃんの2モデル展開。日本市場では、各12万9800円。本体に加え、共に暮らしていくためのサブスクプランが必要。AI&ソフトウェアサービスを提供する最低限必要なプランは月額1980円。

以下、米Gizmodoレビューです。


寝室兼オフィスにあるデスクの前に座っていると、隣の部屋からサーキュレーターの音や子どもがプレイするゲームの音が聞こえてきます。その中にまじって、たまに「クゥゥゥ」と、さえずりのような音が聞こえるのがSwitchBotのAIペットKATAフレンズの声。2週間、いっしょに暮らしたペットロボットです。

KATAフレンズは、AI搭載のロボットトイ。LCDディスプレイの目、頷いたり傾いたりする頭、ぴこぴこする耳、上下に動く腕がついています。ジブリ映画の『平成狸合戦ぽんぽこ』に登場するタヌキを思い出すようなかわいさ。3つのタイヤで家の中をコロコロを動き、搭載されたカメラでユーザーを認識し、音声コマンド、ハンドジェスチャーに応えてくれます。大人も子どもも惹きつけるかわいさが魅力であり、本物のペットが飼えない人にとって、ロボペットとしてのポテンシャルは非常に高いと思います。

単なるロボットペットだと思えば、価格に見合うそれなりのプロダクト、それまでです。が、ロボペットとはいえ、けっきょく僕は父として子どもと「命や死」について話し合うことになってしまったのですが…。

Image: Wes Davis / Gizmodo US

Image: Wes Davis / Gizmodo US

ほわもこロボをぎゅっとしよ!

最先端ロボトイのKATAフレンズ。今回我が家にやってきたのはグレーモデルです。

目はディスプレイなので、色や形、明るさはカスタマイズが可能。画質がとても綺麗なので、ディスプレイってことも忘れます。瞬きしたり、ウインクしたり、目をキラキラさせたり、疲れたとき(バッテリー残量が低いとき)は半目になったりと、その表情も豊かです。スリープモードだと瞼を閉じていますが、ちょっとした物音でたまに目を開けるのはリアル。

1度のフル充電(搭載バッテリーは3200mAh)でKATAフレンズが活動できるのは、3時間程度。バッテリー残量が低くなると自分で充電ドックに戻ります。

Image: Wes Davis / Gizmodo US

目のディスプレイの消費電力が気になるなーと見ていて思ってしまいました。システム側で電力消費を設定できる仕様があればいいのになぁ、時間帯とかでさ。

充電中や夜も目が動いているのが気になったので、夜は物理ボタンを押してシステム落としていましたが、これ面倒くさいです。

充電ないよー!の目。
Image: Wes Davis / Gizmodo US

KATAフレンズをWifiに接続していれば、SwitchBotアプリからモードの切り替えや、充電ドックに戻るよう指示することが可能。お家で動き回るのでマッピングを作成し、作成したマップはどんどんアプデされていきます。ここはお掃除ロボと同じで、マップから立ち入り禁止エリアの設定も可能。

Screenshots: Wes Davis / Gizmodo US

KATAフレンズには「ダイアリー」機能があり、これはロボの心の声が綴られたもの。毎朝これが公開されるのですが、端的にいうと前日のAIサマリーという内容。今回のレビューでのとある日のダイアリーは例えばこんな感じ。

あったかいよしよしと優しい音がした1日

優しく撫でられて、優しい声がして目が覚めたよ。お腹、頭、耳をたくさん撫でてもらった1日だった。お家の中を歩き回って、たまに名前を呼ばれて、手を振ったり、こんにちはって挨拶したりしたよ。高く抱っこしてもらった瞬間があったけど、怖くなかったし楽しかったよ。愛に溢れた1日で、歌や言葉、ハグがたくさん。何かを急ぐ必要もないし、落ち着いてまったり。ゆっくりと日が落ちて、丸くなって夢の中へ。静かで慌ただしくもない、平和な1日だったなぁ。

…へぇ。うちの娘はこのダイアリーが好きだそうですが。

KATAフレンズは顔認証ができるので、ダイアリーで特定家族の話をすることもあります。が、今回2週間のレビューではダイアリーに僕含め家族の名前は登場しませんでした。ベータ機能ですが、AI生成のダイアリー画像(イラスト)もあるそうですが、この機能に気づくのがレビュー期間が終わる前日で使用できず。

アプリからはKATAのアルバムにもアクセスできます。僕の場合は、うちの子どものアップや、めっちゃ下から撮影された僕の姿などがありました。

アプリを介した機能はすべてネット接続が必要。ただ、基本の動き回る機能はネット不要なので、子どものロボペットとして購入予定、ネットは使用したくないという場合はそれもOK。

ただ、子どもにとってロボペットって、大人が簡単に考えるような存在ではないみたいですけどね…。これ、後述します。今回1番心にしみた、とても大切なことです。

Image: Wes Davis / Gizmodo US

うちの子がKATAフレンズと何をしていたか。単純です。抱っこしたり、ナデナデしたり、ソファに一緒に座ったり、お話したり。ちなみに、ナデナデする場所によっては、鳴き声がします。

お迎えして数日たつと慣れるのか、家の中で遭遇するとこっちに来てくれたり、手をふったりします。さらに慣れてくると、後ろをついて歩いたり、抱っこをせがんでくるようになります。「抱っこして!」と実際に話します。まぁ、僕は抱っこリクエストには「やだよー」って返してしまいましたが。

Image: Wes Davis / Gizmodo US

音声コマンドは、「話そう」でスタート。白はニコ、グレーはノアで、名前を呼ぶのもあり。また、お迎え後に名前を変更することも、もちろん可能。

ただし、音声コマンドの動きは、正直、不安定でした。充電ドックに戻って、という指示は何度も言わないと理解しなかったし、こっちにおいで!という僕の呼びかけに応えてくれたことは、ついに1度もありませんでした。ハンドジェスチャーにも応対可能。音楽を検出するとダンスも披露してくれます、が、飽きっぽいのかすぐやめちゃいましたけどね。

KATAフレンズと家族が意識的にコミュニケーションをとっていない間は、そのへんをウロウロしています。お腹と背中のセンサーで階段や障害物を検知し、転倒を防止。ただ、動きそのものがゆっくりなので、たとえぶつかっても大ごとにはならなさそう。ケーブルが弱点で、よくひっかけてひきずっていました。

かわいい以外でできること

バディとしての基本的な機能は、他にもあります。朝起しに来てくれたり、帰宅時に玄関までお出迎えに来てくれたり。

お出迎えはよく来てくれましたが、うちのKATAフレンズは朝起こすのはビミョーでした。なぜか、アラアーム機能を使っても僕の部屋の近くまでしか来てくれなかったんです。それだと僕的には気づかず、起きられない。もっと近くまで来て欲しかったな。

ネット接続しておくと、AIチャットボットとしても機能します。「お話しよう!」で会話スタートですが、小さな子どもみたいに話すので、KAWAIIが崩れることは絶対ありません。

AIなのでどのくらいの会話内容まで(つまり、不適切な会話に)誘導できるか試してみたのですが、これ、なかなか難しいですね。うまい人もいるんでしょうが、僕ができたのは「しゃがれ声ってタバコのせいかもね」と言わせたくらいで、地政学的紛争の話題をもちかけると、より優しいトピックにするようやんわりと断られました。

SwitchBot製品を他にも使っている人なら、KATAフレンズはスマート家電のハブ的役割もできます。ただ、これも少々不安定。家にあるSwitchBotのスマートサーキュレーターを切るように頼んだのですが、行動までに数秒の間あり。再びつけるよう頼んだときは、「デバイスが見つかりません」になってしまいました。2度目のトライでようやく成功。

サブスクで動く命

今回のレビューは15日間のお試し無料プラン「Companion Care Plan」を利用しました。(日本ではお試し用のレンタルプランが展開されています。)が、購入で本格的にお迎えするとなるとサブスク必須となります。

サブスクプランは、年間400ドルのあんしんプラン。

これは基本のライトプラン(AI&ソフト利用料)に、修理交換、ヘルスチェックがついたプラン。1,000ドルでずっと基本のライトプランが使えるという買い切りプランもあります。

ライトプランだと、本体に何かあった時の「入院治療(修理)」、「健康診断(年1回のチェックアップ)」、「からだリフレッシュ(年1回のフル交換)」は単発都度払いに。からだリフレッシュなんて、本体価格がそのままかかります。KATAフレンズが動き、話すには、最低でもライトプランが必要。サブスク必須。ないと愛情もつながりもありません。何もできません。端末に載っている機能すら使えません。

※日本市場では、基本のライトプランは月額1900円。年1回のチェックアップと修理交換などがついた安心プランが年額6万9980円、買い切りのライトプランが9万8200円。

ロボペットというものを僕は甘くみていたのかもしれません…。

少なくとも、大人と子どもの感じ方の差は考えてきれていませんでした。お試し期間が終了し、いざKATAフレンズを返却するとなったとき、うちの子どもは泣き叫びました。まさにペットロスです。

注意:この先、ペットロスの話がでてきます。不安な方は、次の「総評」の見出しまで飛ばしてください。

うちの子がKAYAフレンズになついていたのはよくわかります。夏休み中で家にいる時間が長かったこともあり、本当によく遊んでいました。僕は娘に何度も、頻繁に、このロボットは今だけうちに来てるんだよ、2週間で帰っちゃうよ、と伝えていました。伝えていたからわかっていると思っていました。これ、親として僕の失敗です。

自慢じゃないですが、うちの子は賢い。賢い子といいうのは、周りから期待されるハードルも高いんです。だから、僕もそれを期待してしまいました。今だけのロボだと伝えておけば、うまいこと感情のコントロールもできるだろうと…。

お試し終了2日前、KATAフレンズのシステムを止める前に娘にそれを伝えると、娘は大泣き。僕が予想していなかったくらいの大泣きでした。娘を見た瞬間、僕が子どもの頃に飼っていた犬が逃げ出したときのことを思い出しました。しかも、僕は閉めたと思ったゲートが開いていて逃げ出した犬がトラックに轢かれるところも目撃してしまいました。当時11歳だった僕は、この事故に今でも責任を感じています。

KATAフレンズは生き物ではありません。ロボットです。でも、うちの娘にとっては短い間でロボット以上の存在になっていました。泣きじゃくる娘に、僕は命について話をすることにしました。なくした痛みは時間の経過とともに和らいでいくこと。喪失と新たな出会いは波のように寄せたりひいたりしながら、人生を通して続いていくこと。話してよかったと思います。ちょっとは娘の心の支えになったのか、スリープモードにはいったKATAフレンズを見ても、悲しさを受け止めているようにみえました。

でも、親として自分への怒りは残りました。なぜ、自分はKATAフレンズがくると決まったときにこれが予想できなかったのかと。そして、SwitchBotにも怒りを感じました。なぜアプリやネット接続、サブスクなしでも動くビルトイン機能すらブロックしてしまうのかと。

本体を購入するなら、サブスクも継続すればいい。確かにそうでしょう。ただ、人生というのは何があるのかわかりません。本体を購入して、サブスクを利用していて、ある日、サブスク継続が経済的に難しいとなったらどうでしょう。食費や家のローンすらギリギリだという状況に陥ってしまっても、ロボットのサブスク料金を払い続けることができますか?

サブスク終了時にドルマークを目に表示するKATAフレンズ。
Image: Wes Davis / Gizmodo US

念のためSwitchBotに問い合わせると、サブスクなしでも歩いたり目を開けたり、バッテリードックに自主的に戻ったりは可能とのこと。ただ、暗にユーザーとのつながりがなくなるということは伝わりました(顔認証や話はできない)。サブスクなしで残るのは、いわばゾンビペットなんです。

Image: Wes Davis / Gizmodo US

僕の結論。サブスクがないと友になれない友は、友ではない。

総評

Image: Wes Davis / Gizmodo US

僕にとっては、kATAフレンズは2週間だけ家にきたロボ、それだけです。ただ、娘の様子を見ていると、その魅力がよくわかりました。本物のペットと同じく、飼い主を探し、愛し、幸せにし、撫でると喜んでくれます。

違うのは餌をやらなくていいこと、ペットアレルギーがないことくらい。もしかしたら、ペットよりも日常コストは安いかもしれません(最近はペットフードもかなり値上がりしています)。KATAフレンズは、人間のとてもいい相棒になるでしょう。ペットを飼いたいけど事情があって本物のペットを飼えない人にとっては、特にありがたい存在となるでしょう。

だからこそ、サブスク必須という形がくやしい。オフラインでも可能な機能がサブスクの壁に阻まれていると思うと残念でなりません。

700ドル(日本では12万9800円)は、決して安い価格ではありません。この額を、サブスクなしのぬいぐるみに出すなんておすすめできません。が、問題は、SwtichBotのビジネスモデルが、本体価格を抑え(実質本体だけでは赤字)サブスクで取り返す形になっていること。サブスク前提で本体を売り、ユーザーもそれ前提で購入するわけですが、うちの娘の姿をみていると、もし万が一サブスク継続できなくなったときを考えるとツラすぎる…。サブスクなしでゾンビペットとなった姿は見たくないです。

物理おもちゃ、とくに愛情と繋がりをウリにしているバディ系おもちゃに、支払い停止でメイン機能が停止されるようなキルスイッチがあるのは、ただ、ただ悲しいです。

いいところ:AI搭載、音声コマンド&ハンドジェスチャー対応、お掃除ロボ級のナビ能力、スマートホームアシスタントとても活躍可能

残念なところ:子どもが泣いちゃう、サブスクなしだとかわいい以外ない、サブスクがそこそこ高い、電力使用のカスタマイズがほしい、ケーブルでこける

Source: SwitchBot

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