StripeとAdventがPayPalに約8兆6000億円での買収を提案か
07/16 12:25

決済サービス大手のStripeとアメリカのプライベートエクイティ企業であるAdvent Internationalが、オンライン決済サービスを提供するPayPalに対して約534億ドル(約8兆6000億円)での共同買収を提案したことが報じられました。買収が実現した場合、世界最大級のオンライン決済企業が誕生することになりますが、PayPalは現時点で提案に返答しておらず、取引が成立する保証はありません。
EXCLUSIVE: Stripe, Advent offer to buy PayPal for more than $53 billion, sources say | Reuters
https://www.reuters.com/business/finance/stripe-advent-offer-buy-paypal-more-than-53-billion-sources-say-2026-07-15/
Stripe and Advent reportedly offered to buy PayPal for around $53.4B | TechCrunch
https://techcrunch.com/2026/07/15/stripe-and-advent-reportedly-offered-to-buy-paypal-for-around-53-4b/
StripeがPayPalの買収を検討していることは、以前にも報じられていました。
決済サービスのStripeがPayPal買収を検討 - GIGAZINE

ロイターによると、StripeとAdventはPayPalの株式を1株当たり60.50ドル(約9740円)で取得する共同提案を2026年7月上旬に提出しました。買収総額は530億ドル(約8兆5300億円)を超え、TechCrunchは約534億ドル(約8兆6000億円)と報じています。提示された価格は買収提案が報じられる直前のPayPalの終値に約28%を上乗せした水準です。
また、買収資金については、銀行から約500億ドル(約8兆500億円)の融資を受ける確約を得ているとされています。報道によれば、買収後もPayPalを分割せず、StripeとAdventが株式を折半して保有する計画だとのこと。両社は2026年4月にもPayPalへ最初の打診を行っており、今後数週間で協議を進展させたいとしていますが、PayPalからの返答はまだ得られていないとのことです。

Stripeは主に企業やオンライン事業者向けに決済処理基盤を提供している一方、PayPalは4億3000万件を超える消費者アカウントに加え、個人間送金サービスのVenmoを抱えています。両社が統合された場合、年間約3兆7000億ドル(約596兆円)の決済を処理する世界最大級のオンライン決済企業になるとみられています。
Stripeにとっては、PayPalの利用者基盤や決済ボタン、Venmoの個人間送金ネットワークを取り込むことで、消費者向けサービスを一気に拡大できる可能性があります。Stripeのネットワーク内で処理する取引を増やし、VisaやMastercardなど外部の決済網に支払う手数料を抑える効果も期待されています。
さらに、Stripeは仮想通貨関連部門のBridgeを通じてステーブルコイン決済への投資を進めています。PayPalの大規模な消費者ネットワークを利用できれば、ステーブルコインを使った決済サービスの普及を加速させる足掛かりになる可能性があります。

一方、PayPalはデジタル決済市場の先駆者として成長しましたが、近年はApple PayやGoogle Payなどとの競争激化や成長鈍化に直面しています。2021年に約3600億ドル(約58兆円)に達していた時価総額は、2026年には一時約360億ドル(約5兆8000億円)まで下落しました。直近の1年間だけでも、時価総額は40%以上減少しています。
PayPalのエンリケ・ロレスCEOは事業構造の簡素化と成長回復に向けた改革を開始しています。PayPalは事業をオンライン決済、Venmoを含む消費者向け金融サービス、決済・暗号資産の3部門に再編し、今後2~3年間で約15億ドル(約2420億円)のコストを削減する方針を示しています。

ただし、アナリストからは、PayPal側が今回の提示額を低すぎると判断する可能性も指摘されています。StripeとAdventが提案額を引き上げる可能性はあるものの、PayPal、Stripe、Adventはいずれも報道についてコメントしておらず、交渉の行方は不透明です。