所ジョージが『ポツンと一軒家』で出会った老夫婦から考えたこと。「近頃みんな『考える』事をしなくなった。考えなくてもいいですよ!って便利なものが進んでいってるのもどうかと思う」【2025年下半期BEST】

所ジョージ

(写真提供:ネコ・パブリッシング)

2025年下半期(7月~12月)に『婦人公論.jp』で大きな反響を得た記事から、今あらためて読み直したい1本をお届けします。(初公開日:2025年8月24日)

【写真】笑顔の所さん。その前に並ぶのは…

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2025年で70歳を迎えた、タレント・所ジョージさん。長寿レギュラー番組の司会者やシンガーソングライターとして活躍し続ける所さんの<頭の中>は、どうなっているのでしょうか?そこで今回は、著書『所ジョージの世田谷ベース VOL.59 新解釈 スーパートコロ辞典』からワードを抜粋し、国語辞典には載っていない<所さん的・言葉の解釈>をお届けします。

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素敵な老夫婦

かんが‐える【考える】[動]
知性を働かせて論理的に筋道を追う。また、そうして結論や判断を得る。「数学の問題を―・える」想像する。「―・えられない事件」あれこれ思いをめぐらす。「将来を―・える」
出典:新辞林

所:ポツンと一軒家のVTRでさ、素敵な老夫婦が居たのよ。そりゃもう山奥の山の上で、旦那さんは子供の頃からそこに住んでるんだけど、今でも交通手段はクルマしかない場所なんだよ。で、旦那さんは、なんとか麓の小学校は通えたけど、中学校は歩いて行けない距離だから、小学校出てすぐ林業の仕事に就いたのね。

山の太い木を切り倒して、枝を払って、丸太にして台車に載せて、麓までもってくの。全部、人の力でやるんだよ。木を敷いて滑りやすくした山道を、何トンもあるような丸太を積んだ台車を支えながら降ろしていくんだって。背骨が軋むようなキツイ仕事さ。しかも、給料はお金じゃなくて、食物。山奥すぎて、買い物する所なんて無いから、食物貰った方が良かったんだって。

旦那さんは、そんな仕事をしながら、奥さんと結婚して、畑も作って、今も山奥の一軒家に暮らしている。そこに突然現れたスタッフにお茶淹れてくれたり、おみやげに大根くれたりと、接待してくれた上に、最後に「なんもないけど」ってうどんも出してくれたのよ。

もちろん、スタッフは感謝して食べてたよ。でもさ、よく考えたら、ご高齢で、今でも買い物に苦労する場所に暮らしてるんだから、そのうどんは、ご夫婦にとっては結構大事なものなはずじゃん。街に住んでいると、うどんなんてコンビニでも売ってるし、外食チェーンでも気軽に食べられるものだけど、山奥で暮らす人にとっては、気軽に食べられるものじゃないはず。そういう事を考えて気付けたら、食べるうどんの味も違うじゃん。ありがとうね! って心から言えるじゃん。

「考える」事をしなくなっている

編集部:相手の気持ちを考えたら、そうなりますよね。

所:近頃は、なんかみんな、『考える』事をしなくなっちゃってるよね。しかも、考えなくてもいいですよ! っていう便利なものがどんどん進んでいってるのもどうかと思うよ。例えば、自動で運転するクルマですよって、考えたらおかしいじゃない。自分の行きたいところに、自分の力で運転していくっていう人間の基本的な意思や能力を失わせるでしょ。それはダメだよね。単なる未来ごっこで、技術の進化でもなんでもないと思う。

世間的に、今までは山を切り崩して、コンクリート貼って開発してきたけどさ。これからは緑を大事にして行こうって、折り返してるじゃない。クルマだって、もうすぐ折返しの時期がくるよ。でも、それが電気自動車で良いのか? って考えると、違うよね。電気自動車のバッテリーって、再利用するには高度な技術とお金がかかるんで、大量のバッテリーをどう処理していくかって、日本ですら未だにちゃんと解決できてない。電気自動車だけバンバン作って、世界中に普及させてみなよ、発展途上国だったら、バッテリーを捨てるしかないんだよ。環境にちっとも優しくないじゃん。

『所ジョージの世田谷ベース VOL.59 新解釈 スーパートコロ辞典』(著:所ジョージ/ネコ・パブリッシング)

あとね、そもそも電気自動車って、電気で動くんだよ、電気を作るには、発電所がいるの。でも、日本は、石炭の発電所減らします、原発も減らします、って言ってる。つまり、発電はだめって事。何がしたいの? ってさ(笑)。クリーンエネルギーでなんとかって言うけど、太陽光発電に使うシリコンとかシステムって、めちゃめちゃ電気を使って作るのよ。そのシステム自体が発電する量より、作る方が電気かかっちゃうっていうね。山奥で使うのには便利なんだけどさ。

クルマやめて、自転車で動きましょうって、自転車だって、タイヤのゴム作ったり鉄のパイプ曲げるのに、電気使うの! テレビで「これからは、やっぱりクリーンエネルギーですよね」なんて言ってる人がいるけど、シャワー浴びて、メイク塗ったくって、ドライヤーかけて、スプレーかけて、それ全部電気使ってるじゃん(笑)。

考える上で大切なこと

編集部:どうすれば良いんでしょうかね? 

所:電気代を10倍にするしか無いと思う。そうすれば電気の使用量が10分の1になるよ。もう皆は忘れてるかもしれないけど、震災の後、街のいらない電気消しましょうってなって、駅すらも照明減らしてたじゃん、あのまんまで良かったんだよ。

クルマだって、今乗ってるのを大切にして、長い間乗ればいいの。そうすれば、新しいクルマを作らずに済む。あとは、なるべく歩く、電気をこまめに消す、待機電力どころか、ブレーカーから落としちゃう(笑)。

真面目な話になっちゃったけど、よく考えたら、そういう生活をみんなでするのが、環境に優しいって事だとわかるでしょ。私は、何十年も前から、家中の電気スイッチを消して回る係だったからそうなっても、ぜんぜん問題ないんだけどね(笑)。

トコロ辞典的『考える』の解釈
考える上で大切なことは、謳い文句や便利さを疑うこと。相手の気持ちを察すること。物事の本質を見極めて、自分なりの結論を導きだした上で、世の中の動きと照らし合わせること。

※本稿は、『所ジョージの世田谷ベース VOL.59 新解釈 スーパートコロ辞典』(ネコ・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

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