一夜で建ったのでなく一夜で消えたから<墨俣一夜城>『豊臣兄弟!』秀吉伝説を巧みに取り入れる脚本に視聴者「誰も覚えていない城という扱いに…」「砦でなく城だとしたこだわりに魅了」

(『豊臣兄弟!』/(c)NHK)

NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」(NHK総合、日曜午後8時ほか)。

史料的裏付けはない?それでも語り継がれる<墨俣一夜城>伝説。大河ドラマで描かれるようになった理由とは…

3月1日に放送された第八回「墨俣一夜城」で、美濃・墨俣にて斎藤軍と激突することになった藤吉郎・小一郎たち。

そこで墨俣砦を去る際に残した藤吉郎のセリフが、視聴者の間で話題になっています。

*以下第八回のネタバレを含みます。

<第八回のあらすじ>

小一郎(仲野太賀)らは墨俣へ出陣。

だが信長(小栗旬)の真の狙いは墨俣ではなく、美濃三人衆の一人・安藤守就(田中哲司)が守る北方城だった。

(『豊臣兄弟!』/(c)NHK)

藤吉郎(池松壮亮)は、美濃国主・斎藤龍興(濱田龍臣)の目を北方城から逸らすための捨て石と承知の上で、墨俣に砦を築く大作戦に着手する。

一方、直(白石聖)は、小一郎と夫婦になる許しを得るため中村に戻る。意外にも父・喜左衛門(大倉孝二)から手厚く迎えられるが…。

囮となった墨俣砦

墨俣に短期間で砦を築くことに成功した藤吉郎たち。

信長によって”囮”とされた墨俣砦へ斎藤龍興軍の攻撃が始まると、その裏をかくべく、小一郎は長康らとともに北方城へと向かいます。

しかしその策は竹中半兵衛に見抜かれており、逆に小一郎は追い詰められてしまいました。

一方、夕方に入り、美濃の三人衆・氏家直元率いる斎藤軍の総攻めを受けた墨俣砦。

藤吉郎や正勝は必死に応戦しますが、ついに馬防柵が破られ、砦には敵が流れ込んできます。

その様子を見て「ここまでか」と呟いた藤吉郎。正勝に合図を送ると、一斉に砦から撤退を始めます。

よき城であった!

それから川に用意していた筏に乗り込んだ藤吉郎たち。

すると砦をまじまじとながめて「この城のことを覚えておる者がこの先、どれほどおるであろうのう」と呟いた藤吉郎。

「たった一夜であったが、お主らと共に造ったこの城のこと、わしは生涯忘れぬ。よき城であった!」と、涙を浮かべながら正勝たちへ伝えます。

それから控えていた川並衆に合図を送ると、砦の中へ大量の液体が…。

(『豊臣兄弟!』/(c)NHK)

直元がその液体が油であることに気づいた直後、藤吉郎が用意していた油桶に向けて火矢を放つと、炎に包まれた墨俣砦。

混乱する斎藤軍を前に、藤吉郎たちは筏に乗って墨俣を去るのでした。

視聴者の反応

正勝率いる川並衆の協力を得て、小一郎らは墨俣に短期間で砦を築くことに成功しますが、斎藤龍興からさっそく攻撃を仕掛けられ、藤吉郎たちはピンチに。

しかし斎藤軍に追い詰められることまで見越していた小一郎。

あらかじめ仕掛けてあった油によって、撤退後に砦は炎上してしまいますが、それを見た藤吉郎は”一晩で消えた城”として、正勝らの働きと共に墨俣砦を称えるのでした。

その様子に心を動かされた視聴者は多かったようで、実際SNSでは、「一夜で建ったからではなく、一夜で去ったから墨俣一夜城とするシナリオ格好良すぎた。炎上演出の迫力にNHKやりよったな!!と思ったし、轟々と燃える城を背にする藤吉郎の面構え、これは砦ではなく城だと拘った藤吉郎の潔さに魅了された神シーンであった!!」「一夜で陥落した誰も覚えてない城っていう扱いにしたの新しくて良かった。(実際に墨俣一夜城はなかったという説が有力だそうだし)」「信長の草履を懐中で温めていた逸話とか、真偽が疑われている墨俣一夜城の伝説とか、秀吉の有名なエピソードの解釈と翻案が秀逸すぎて毎回唸らされる」「墨俣一夜城に関しては最新の学説と見事な脚本で良かった。使い古された豊臣秀吉の話だが今回はとても良い」「史実じゃなくても伝説として後世の人々の心に残っている墨俣一夜城。この演出、よき城であった 」といった声が。

なおこうした、よく知られた伝説をもとにしての斬新な解釈や演出については、「豊臣兄弟!」で制作統括を務める松川博敬チーフプロデューサーが、弊サイトの取材記事の中で次のようにこたえていらっしゃいました。

「今回のドラマでは、そうした、よく知られているけれども、創作されたお話をアレンジしています。たとえば草履を秀吉(藤吉郎)は『温めようとしていた』のではなく『盗もうとしていた』に変えました。

『豊臣兄弟!』における草履のエピソードは、脚本家の八津弘幸さんが思いついたものですが、もともとのお話が江戸時代の創作です。

ですので、こうした話に手を加えることに対しては、時代考証の先生たちから特に異論をいただくこともない。

なので、創作話の多い前半は、それこそ八津さんに存分に想像の羽を広げていただくように考えています」

https://fujinkoron.jp/articles/-/20984

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大河ドラマ第65作「豊臣兄弟!」で描くのは、戦国時代のど真ん中。強い絆で天下統一という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡──夢と希望の下剋上サクセスストーリー!!

主人公は天下人の弟・豊臣秀長。

歴史にif(もしも)はないものの、『秀長が長生きしていれば豊臣家の天下は安泰だった』とまでいわしめた天下一の補佐役・秀長の目線で戦国時代をダイナミックに描く波乱万丈のエンターテインメント!

秀長を仲野太賀、秀吉を池松壮亮が演じ、脚本は八津弘幸、語りは安藤サクラが担当する。

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