友近「ライブに来てくれたお客さんを見ると、〈もっと喜ばせたい〉と純粋な気持ちになれる。でも実はチケットが一番売れない地域が…」

家族や会社から「老害」と呼ばれた人たちの、笑いと涙の逆襲劇を描くリーディングドラマ『老害の人』に出演する友近さん。昨年亡くなった内館牧子さんの同名の小説を舞台化したもので、自慢話が止まらない男性や口うるさいクレーマーの女性など、全ての登場人物を千葉雄大さんと2人で演じ分けます。芸歴26年を超えてなお活動の幅を広げる友近さんに、最近の仕事や地元・愛媛について思うことなどを聞きました。(取材・文:婦人公論.jp編集部 撮影:本社・武田裕介)

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【写真】芸能生活50周年の節目を迎えた水谷千重子

ライブで人の温かみを感じる

昔話に説教、病気自慢に孫自慢……。「老害の人」では、周りから「老害」と言われた高齢の女性たちを演じます。でも、自分の老後についてはあまりイメージしたことがないですね。気づいたら50代だったという感じで。周りの人がびっくりするんですよ。「まだ42歳だと思った」って。 

ずっとやりたいことを続けていると、あまり年齢を考えなくなるのかもしれないです。常に「あれやりたい。これやりたい」って出てくるので。「年相応」とは何か、なんて考えたことなかったんです。 

でも「好きなことしかしてないなぁ」って言われると腹立つんですよ(笑)。好きなことを実現さすために、いろんなことを考えて、準備したり、動いたり、0からの道をつくってきたりしたんですけど、そこはあまり見られないんですよね。頑張った成果が、私がコントで扮する大御所演歌歌手の水谷千重子やピザ屋のプロアルバイター・西尾一男のようなキャラクターなんです。 

全国で水谷千重子や西尾一男のライブを開きますが、年齢層は幅広くて、小学生もいれば80歳の方もいます。特にお年寄りがディナーショーを見て「長生きできるわー」なんてステキな言葉を言ってくださるのを見て、エンタメの大切さを感じますね。

「これがこの人たちの栄養になってるんだ」って、優しい気持ちになれるんです。もっとその人たちを喜ばせたいという純粋な気持ちになるし、ライブってすごく大事だなって思いますね。 

実はチケットが一番売れないのが…

実は私のライブのチケットが一番売れないのが地元・愛媛なんです。私の周りの芸人も苦戦してますね。愛媛の人は真面目。私の母親世代の人たちは、チケットをどう買っていいかわからんっていう人もすごく多いんです。(笑) 

でも、吉本新喜劇はめちゃ人気なんですよ。おそらく幼い頃から見慣れている笑いだから安心して笑えるんだと思います。 

愛媛の人は、自分が「ここ面白い」と感じても、周りが笑ってないと笑っちゃいけないんだって思う人も多いんですよ。自分の面白いと思うものの価値観に自信がないというか……。 

それをすごく感じたのが、私がやっているYouTubeドラマ「友近サスペンス劇場」を愛媛で上映した時です。あれは80年代のサスペンス番組を模写した作品で、昭和っぽい演技やセリフが盛りだくさん。作品全体がボケなんですけど、愛媛の人は上映中の2時間、みんな真面目に推理していて、誰一人笑わなかったんですよ。

「違うんだけどなー」と思って。「あるある!!わかる。やってるわー」と思ってくださいよーってね(笑)。だから愛媛の人には上映する前に見方のレクチャーが必要なのかも。みんながみんなそうじゃないですけどね。 

夏に配信予定の「友近サスペンス劇場」のオフショット

チケットが一番売れる地域は… 

逆にチケットの売れ行きがいいのは名古屋なんです。東海地区の皆さんにはすごく応援してもらっています。 

名古屋で朝の情報番組『花咲かタイムズ』に18年ぐらい出演してさせてもらっているんですが、そこで水谷千重子のコンサートや西尾一男のディナーショーの告知をさせてもらえるのが大きいですね。 

毎回カメラがライブに潜入して、どんな雰囲気なのかを伝えてくれたり、来場されたお客さんにインタビューして「こんなに楽しかった」という声をそのまま特集で流してくれたりもするんです。 

そのおかげもあって、水谷千重子のディナーショーは13年連続でやらせてもらっています。この前も1万人規模のコンサートがあったんですが、しっかり売れました(笑)。東海地方の皆さんには本当に感謝しています。 

ただ、どこか愛媛と似ているところもあって(笑)。ちゃんと来てくださるんですけど、ちょっとだけ「どう楽しむか」のレクチャーが必要な場面もあるんですよね。 

もちろんすごく温かいお客さんが多いんです。でもみんなライブが始まっても「どんなふうに楽しませてくれるんだろう」と待っている感じで、こちらとしては「もう始まってますよ、今面白いところですよ」みたいな印象があります。(笑) 

鹿児島で出会った「変な人」

普段から人間観察が好きで、電車でも街でもいろんな人を見ています。特に地方に行くと面白いですね。この前もディナーショーで行った鹿児島で印象的な人に出会いました。 

地元出身の方に案内してもらいながら商店街を歩いていたら、60代後半くらいのおじさんが突然「秘密兵器を見せよう」と話しかけてきたんです。「え?」と思いましたよ。「めっちゃおもろい人出てきたやん」って。 

そのおじさん、バッグから何か取り出そうとするので「あ、やばい人かもしれない」と思ったんですが、出てきたのは(料理に使う)ボウル。それをボウリングの球みたいに見立てて、いきなり投げ始めて。(笑) 

さらに自分の持ち物を並べて、それに向かってボウルを転がすんです。夜中だったんですけど、「この人、いつもやってるんかな?」と思うくらい自然で。初めて見る光景でしたね。案内してくれた人も「鹿児島って普通こんなんじゃないんですけどね」と言いながら、「友近さんが引き寄せたんじゃないですか」なんて言っていて(笑)。でも「おもろい街やな」と思いました。 

あと、バドミントンのラケットをギター代わりにして路上で歌ってる人もいて。これも初めて見ました。仕込みじゃないですよ。40代くらいの男性だったかな。打ち上げが終わって4時間後に同じ場所を通ったらまだやっていたので 「うわ、ずっとバドミントンのやつやってる」って。だから鹿児島のイメージはそれになりましたね。でも全体的に熱い人も多い印象でした。 

そういう人をやっぱり「変な人」って思わないんですよね。むしろ「おもろいな」と思ってしまう。でもあまり深く関わるとまた違ったことになるので、距離感を考えながら接します。ロケだったらもっと踏み込んでいたかもしれませんが、プライベートやったんで。「ほんまにやばい人やったらあかん」と。そのあたりの距離感や節度は大切ですね。(笑)

 

前編「友近 舞台で「老害」演じる『個人的には〈おじさん〉ってすごく好き。誰かを老害だと思うこともあまりなくて…』」はこちら 

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