越乃リュウ「もし今、私がタカラジェンヌとして芸名をつけるなら? 理想はトレンドの〈漢字3文字〉でキラキラした名前だけど…」

(写真提供:越乃さん 以下すべて)
100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第123回は「タカラジェンヌ名前選手権」です。

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【写真】雄大な日本海

前回「越乃リュウが語る〈また会いたい〉元宝塚トップスター2人『誰に対しても分け隔てなく、誠実で…』」はこちら

タカラジェンヌ名前選手権

宝塚歌劇団の生徒名鑑「宝塚おとめ」。
全生徒の写真と、出身地、誕生日、愛称、芸名の由来などを掲載した生徒年鑑です。
そこに並ぶ芸名は、夢や希望、「自分は何者として舞台に立つか」という一人一人の決意と、少しばかりの戦略が込められています。

宝塚にはどの組にも必ずひとりは、空を飛べそうな名前の方がいらっしゃいます。
まるで最初から、キラキラする運命を背負って生まれてきたかのような方が。
「名は体を表す」とはよく言ったものです。

本屋さんで「宝塚おとめ」を見つけた日、もし私が今タカラジェンヌとして芸名をつけるとしたら――。
という、どうでもいいことを真剣に考えてみました。

理想はトレンドの漢字3文字と…

理想は二つ。
ひとつは、漢字3文字。
鳳月杏さん、柚香光さん、礼真琴さん、朝美絢さん、暁千星さんなど、近年増えている漢字3文字の凛とした男役系。
似合う、似合わないはひとまず置いておいて、この漢字3文字のトレンド+キラキラする運命の名前、でいってみようと思います。

そしてもうひとつ、私の故郷・新潟をさりげなく忍ばせる。
新潟らしさをどう混ぜるか、これが意外と難しいところです。
この難しさはすでに経験済みです。

横浜出身、みなとみらいにちなんだという桜木みなとさんのように、地域密着でありながらスタイリッシュ。
宝塚の様式美からはみださない。
これが理想系です。
 

娘役編

新潟と言えば、「海」と「雪」は欠かせないロイヤルキーワードです。
「海」は広く深く、男役なら包容力を、娘役なら透明感を演出します。
そして「雪」は清らかさを。

娘役なら、「雪白 舞(ゆきしろ まい)」とかはどうでしょう?
粉雪が空から舞い散るような、軽やかで優雅なイメージです。
雪国育ち、ダンスだけでなく日舞も得意です、というアピールもできます。
ぜひ雪組に配属していただきたいものです。

「舞」をひらがなにして、近年の娘役のトレンド”ひらがな混じりの柔らかな感じ”を狙うのもよし。
「白雪 舞(しらゆき まい)」にしてもいい感じです。

娘役はタカラジェンヌに最も使われがちな定番どころの「月」「愛」「風」「華」「乃」などを使ってもそれなりに”それっぽく”なります。

さらにもうひとつ、雪国の春を待つ感じの「雪白 希(ゆきしろ のぞみ)」。
「雪白希です。真っ白なキャンバスに未来を描いていきたいと思います!」
という初舞台生の意気込みを語る姿が想像できて、もうかわいいです。

どちらにしてもなかなかいい感じではないでしょうか?
娘役はこれで決まりです。
 

男役編

では、男役編。
男役はもう少し力強いイメージと、地域密着型でいってみましょう。
理想はなんといっても、みなとみらいの桜木みなとさんです。
「名は体を表す」の言葉通り、爽やかさと、現代的、都会的な洗練さを併せ持たれたスターさんです。
横浜に対抗するには洗練が必要です。

やはり越後の「越」は堂々と背負いたいものです。
そして突然思いついた「越光 輝(こしひかり あきら)」
光り輝いてはいるものの、これは絶対ない、とすぐに却下。
米の主張が強すぎます。

次に思いついた「朱鷺 翼(とき つばさ)」
空は飛べる名前だけど、鳥感が出すぎてこれも却下。

大好きな白山(はくさん)神社から「白山 海(しろやま かい)」
「しろやま」と読ませることで宝塚的なノーブルさをまとわせてみました。
タカラヅカ・スカイ・ステージで、「芸名の由来は、故郷の…」と語る初々しい男役の姿が浮かびます。
悪くはない気はしますが、キラキラする運命の名前かと言われると、ちょっと弱い気もします。
新人公演学年で退団してしまいそうな儚さも漂います。

原点回帰で「越乃」残しで考えてみると、下にどんな一文字を持ってきても、新酒の名前のようになってしまうことが判明。

「弥彦」「万代」「信濃」「柳都」
いずれも一歩間違うと、区役所の氏名記入欄の見本か、源氏名のようになる危険性もあります。
地名はそのまま使うのではなく、気配だけ残すのが正解だと、30年以上前に家族でさんざん考えて、「越乃リュウ」という名前に辿り着いた経緯をうっすら思い出しました。

郷土愛の名前としてはなかなかの塩梅ですが、若い頃から貫禄のある役、怖そうな役が多い男役でした。
ある意味、名前通りの仕上がりになったのかもしれません。
芸名とはおもしろいものです。

信濃川と萬代橋

タカラジェンヌの芸名に込められた想い

組長時代、組配属になった新しい仲間の名前を覚えるために、「宝塚おとめ」をコピーして持ち歩いていました。
名前と顔を覚え、愛称を覚え、出身地や芸名の由来からその人の背景を想像していました。
芸名のルーツは様々です。
恩師や憧れの先輩の一文字だったり、歌が好きだから、踊りが好きだから、インスピレーションやこだわり、なりたい自分など、タカラジェンヌの数だけ名前に込められた物語があります。
「宝塚おとめ」を開くときがあれば、その名前に込められた想いを、そっと読み解いてみてください。

私の漢字3文字、桜木みなとさん系のキラキラ芸名は、もうしばらく考えてから、ご報告したいと思います。

久しぶりにいった宝塚。宝塚大橋からの眺め

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