“個性は作らない!” 古川未鈴×ChumToto カオスな時代からの激熱メッセージ!

2025年4月にデビューした名門・ディアステージの末っ子グループ・ChumToto(チャムトト)。まだ分からないことだらけの5人なので、偉大な先輩方に直接お話を伺ってアイドル道の真髄を学ぼう! 

やっぱ最後はこの人でしょう! ということで、でんぱ組.incスタートから昨年のエンディングまで赤担当のセンターを務め上げて、グループの歴史とともにライブアイドルシーンを切り開いてきた超偉人!! 古川未鈴さんのご登場です!!

※宮原梓は体調不良により欠席となります。

平成の伝説! ブルマーイベントで経費を稼ぐ!!

――古川さんは1年前のChumTotoのデビューステージを見てくださってるんですよね。

古川:拝見しました! 見てました! もう初とは思えないくらいめちゃくちゃ上手くて! 信じられなかった!! 歌もめっちゃ上手いしダンスも上手い。すっごい練習したんだろうなっていうのが伝わってきましたね。そのデビューのステージがめちゃくちゃ良かったので、ディアステージ内で色んな人から“ちゃむちゃんが、ちゃむちゃんが!”言われるようになったんだと思います。

瀬﨑:嬉しすぎます!!!

古川:振り付けも結構難しい・・・。手数が細かくて、アイドルの振り付けの中でも結構高度なことをやってるんですよ。それをちゃんとやり切ってたから、メンバーも頑張ったんだろうし、大人もちゃんと頑張ったんだなと思いました(笑)。ChumTotoのプロデューサー陣は、でんぱ組.incの荒波を一緒に乗り越えたマネージャーチームが手掛けているんですよ。

古川美鈴(ふるかわ みりん)

――ご自身のデビューの時とは違う感じでしたか?

古川:いやもう! 違い過ぎて!! でんぱ組.incの初ステージっていうのは、まずどれが初ステージなのかも分からないっていう(笑)。そもそも私がディアステージ(注1)で働いてる時にもふくちゃん(注2)に“ハロプロみたいなのをやらせろ!”って言って始まったのがでんぱ組(注3)なんですよ。だからお披露目のライブがあったわけでもなく。衣装も109で1着700円のワンピースを買ってきてボタンだけ付け替える、みたいな(笑)。フォーメーションも何もあったもんじゃない。最初は振り付けも私がやって、ほんと手振りだけだったし。

――今に続くライブアイドルシーン草創期のカオスを感じますね・・・。wikiにも載ってるんですが、ちゃんとしたプロの人に振り付けしてもらうために、古川さんがブルマー姿でイベントをやってお金を稼いだという・・・。

古川:そう! もふくちゃんが振り付けの人に頼む金はないって言うから、“じゃあ分かりました。お金作ります”って言って、ディアステージで深夜ブルマーになって、お稲荷さん握って、“ブルマイド”って自分のブルマー姿の写真を売り捌いて100万円売り上げ立てて! それで振り付けのYumiko先生という方を呼んでもらったんですよ!!

――まさに伝説ですよね・・・。ChumTotoのメンバーでこの話知ってる人います?

柏葉:知ってます! Xでその話を拝見して・・・。

古川:ギャーーッッ!!!(困笑)

柏葉:まず第1に衝撃だったんですけど・・・。驚きと同時に、アイドルをやりたいって気持ちの強さに感動して!! 自分たちはそこまでの気持ちを出せてるかなって思いました。

古川:でももう時代が変わったからね〜!! 私たちは本当に雑草魂っていうか、泥臭くても何でもやってやるぞ〜! って感じで頑張ってましたけど、今のお客さんがそれを見てどう思うかは全く想像できない! でんぱ組.incに『W.W.D』(注4)って曲があって、自分のイヤな部分も全部歌っちゃう、さらけ出しちゃう! みたいな曲で、本当に私たちの転機になった大切な曲なんですけど・・・。去年のエンディング(注5)の時にもふくちゃんから言われたんですよ。“もうでんぱ組.incみたいな自分語りするアイドルは絶対に売れないよ、未鈴・・・。うちらで最後にしよう”って・・・。MCで“平成を終わらせる!”って言ったのは、そういう意味だったんですよね。

――重みがすごいですね・・・。

古川:ChumTotoちゃんはじめ、今のアイドルの子たちも、絶対売れたいと思ってるはずだし、貪欲さもあると思うんですよ。でも今の時代にそれをどうやって出していくかというのは難しいですよね・・・。

(注1)秋葉原ディアステージ:2007年に秋葉原に開店したライブイベントスペース。初期のでんぱ組.incメンバーはここの従業員を兼ねていた
(注2)もふくちゃん:本名、福嶋麻衣子。秋葉原ディアステージの創設者であり、でんぱ組.incプロデューサー
(注3)でんぱ組:2007年結成の前身ユニットの名称は“でんぱ組”であり、2009年に“でんぱ組.inc”に改名する
(注4)『W.W.D』:2013年にリリースされたシングルで、メンバーの実体験を元にして作られたドキュメンタリーソング
(注5)12ヶ所にわたる“エンディングツアー”のあと、2025年1月4日・5日ラストライブ『でんぱ組.inc THE ENDING 「宇宙を救うのはきっと、でんぱ組.inc!」』で活動を終了

あったはずの歌割がなくなった!?

――カオスだったけど可能性だらけだった草創期が幸せだったのか、閉塞感ありつつ色々整ってる今の方が良いのか・・・? 一概に言えない永遠のテーマですね。

さて、1周年ワンマンを前にして、ChumTotoのメンバーから未鈴さんに相談したいことはいっぱいあると思います。どうですか??

江本:はい! 私たちはボイトレの先生から、歌声がみんな似てて個性がないっていうのを課題として言って頂くことが多くて、でんぱ組.incの皆さんは歌声もすごく個性があると思うんですけど、レコーディングやライブの時に意識されてることとかありますか?

瀬﨑くるみ(せざき くるみ 左)/江本夏渚(えもと なな 右)

古川:私は歌が超嫌いだったんですよ!! 本当に下手くそで!! 裏話ですけどでんぱ組.incの『ORANGE RIUM』って曲で、余りにも下手すぎて途中で歌割りがなくなっちゃって(笑)。ずっと苦手意識しかなかったんですけど・・・。『Future Diver』って曲でヒャダインさん(注6)とレコーディングさせて頂いた時に、あのヒャダインさんが来るってなって音程を外さないように真面目に丁寧に歌ってたら、ヒャダインさんから“そんなんじゃ全然つまんないよ”って言われて、もふくちゃんからも“未鈴、いつものヘタウマを見せろ!”って言われて・・・。

私、アニソンが好きだったんで、パロディみたいな感じで、語尾を強引にキュ〜ってあげる歌い方をよくやってたんですよ。それを思いっきりやったらヒャダインさんが“それだよそれ!!”って大喜びで! そこからもう“私はこれで行こう!”って感じになれたんですよね。マイナスだと思ってたものが逆に個性に変わったりするので、焦らずに探したらいいんじゃないかなって思います!

江本:ありがとうございます!!

柏葉:未鈴さんが、ライブ中に一番気をつけていたところってどこでしょうか?

古川:これはもう、すごく賛否が分かれちゃうと思うんですけど、最前にいる自分のファンの人たちはほぼ見ないようにしてました。

――うわ〜! 基本みんなレスが欲しくて前に行くわけだから、常識で考えると真逆ですよね。

古川:もちろん前にいる人たちに感謝の気持ちもあるし、一切見ないというわけではないんですけど・・・。やっぱり新規の人って後ろで見るから、その人たちの視点で考えると、私が前方の人ばかりに目線を送ってたら、下ばかり見てるように見えるわけで、その瞬間に一気に身内感が出ちゃう。新規の人が入りづらくなる。だからとにかくフロアの後ろの方ばかり見るようにしてました。MC中とかは前方の人を見るんですけど、特に自分のソロパートの重要なところとかでは、必ず一番後ろを見るようにしてましたね。

――常連のファンから不満は来なかったんですか?

古川:めちゃめちゃ来ましたよ(笑)! “未鈴ちゃんレス来ない”で有名で、一生言われてました。全部説明してました。“本当にみんなには感謝してるけど、私は新規の人にも来て欲しい”って。でもこれは本当に、あまりマネしなほうがいいかもしれない(笑)。キャラクターにもよると思うので・・・。ただ、特に対バンとかの時は“1人でも釣って帰るぞ!”って気持ちで。毎回たった1人でもいいから自分のファンを増やして帰ろうって。アウェーな対バンほど燃えてましたね。そういう熱さってパフォーマンスにも反映すると思うし、それを見て、前にいる自分のファンの人たちも納得してくれた部分もあると思います。

(注6)ヒャダイン:作家としての名義は前山田健一。ももいろクローバーの『行くぜっ!怪盗少女』で日本アイドル界を代表する作家に。でんぱ組.incにも前述の『W.W.D』含めて多数の楽曲を提供

“お肉とお魚どっちにする?”と聞かれたら・・・!?

――No Pain,No Gainという感じで、リスクは高いですが説得力も凄いですね・・・。他にはどうでしょうか?

詩之宮:さっきの歌の話も通じると思うんですけど、やっぱりでんぱ組.incさんと比べると、ChumTotoはメンバーの個性が薄い気がして、それぞれの個性はどうやって見つけて、伸ばしていったらいいのか? といつも悩んでます。

柏葉れん(かしわば れん 左)/詩之宮かこ(しのみや かこ 右)

古川:デビュー1年目とかにその悩みが出てくるの、すごく分かります。でもこれにはもう明確な答えがあって、“個性は作らない/作れない!!”

――マジっすか? 断言!!??

古川:個性を作ろう作ろうと思って出てきたものは、絶対本来の自分の個性じゃないんですよ。でんぱ組.incなんてそれこそキャラの濃い人だらけだったから、自分も個性がなさすぎるってめちゃくちゃ悩んだ時期があって。ちょっと天然ぶってみたりとか、声を変えてみたりとかしたんですけど、そういうのは途中で絶対無理が出てくる。だから私は途中から、個性がないのを悩んでるのが自分の個性だなって思って、それをガンガン言うようにして。そのうちにやっぱりゲームがすごく好きだから、趣味のレベルを超えて自分の個性として話せるように練習したりはしました。

私が一貫してすごく意識してたのが、とにかく“自分の言葉で喋る”こと。アイドルって、ライブのMCで言わなきゃいけないことって、色々大人から送られてくるじゃないですか、次の会場はここですとか、新曲リリースしますとか・・・。そういうのも定型文じゃなくて、ちゃんと自分の気持ちを乗せて話す。すごく地味なことに思えるかもだけど、言葉ってファンの人たちにダイレクトに届くものなので、日々発する言葉の積み重ねから、その人の個性って生まれて来ると思います。

あとそれと同時に、自分に好きなものがないとか、興味のあるものがないとか、意見がないっていうのはアイドルとして弱いなと思うんですよ。例えば、“今日お肉とお魚どっちが食べたい?”って聞かれた時に、私は“どっちでもいいです”って言っちゃうタイプだったんですけど、それはアイドルとしてはめっちゃ弱いなと思って。“お肉がいいです! 特に牛肉のこの部位! この味が最高で! 今すごい食べたいです!!!”って言えるくらい・・・。それくらい自分の“好き”に貪欲な人がアイドルとしては強い。夢眠ねむちゃんがそう言うタイプで、もう“好きなものは好き! 嫌いなものは嫌い!”っていう(笑)。ねむちゃんからの影響はありました。それに気づいてから自分もゲーム好きを全面に出すようにして、自分の好きって感情を、ちょっと意識的に強調するようになりました。好きから生まれたものは本当の自分の個性だから、武器にしても絶対ウソにならないと思うので。

――“お肉とお魚どっちにする?”って日常的な問いへのリアクションに、アイドルと非アイドルの基本姿勢の違いが出るの、めちゃくちゃ深いですね。瀬﨑さんは相談ありますか?

瀬﨑:聞こうと思ってた悩みがあったんですけど、今まで言って頂いた未鈴さんの言葉が凄すぎて! 答えが見つかった気がします・・・。私は自分が好きなこととか、こだわりが多すぎて・・・。SNSの文章を打つのにもすごく時間がかかったりとか、動画を1本編集するにも、めちゃくちゃ時間がかかるので、それが悩みだったんですけど、やっぱり時間がかかっても、自分のこだわりを出して、自分の言葉でやっていこうって思えました。

古川:素晴らしい! 本当にそう思いますよ。でも1つアドバイスを付け加えるとしたら、SNSの文章は、もう短ければ短いほどいい!!

――それはなぜでしょう?

古川:やっぱり文章が短いほど、リアクションは伸びる! ちょっと前の公式マークがなかった頃だと、長い文章はリプライで次に続けるみたいにしてたじゃないですか。あの形になると確実に伸びない! “これはみんなに読んでほしい! これは伸ばしたい!”って時は本当に切り詰めて切り詰めて、言いたいことの大事なことだけスパッと書く! みたいな。その方が人の心に刺さるし、拡散もされると思います。

私を信じるな!? 取捨選択大事!!

――なるほど! 4人全員の悩みに答えて頂きましたが・・・。いや、聞けば聞くほど、“アイドルとは何か?”的な本質論から、超具体的なテクニックまで、次々と濃いお話が!!

江本:もう全然私たちが想像もしてなかったレベルのお話が聞けて、今日来てくださったことに本当に感謝です!!

古川:でも最後に1つ言いたいのが・・・。私が言っていることが全て正解ではない!!

――そんな〜! ここまで良い話されて挙句に“俺を信じるな!”的な展開ですか(笑)?

古川:アイドルってもう究極の個人事業主だと思うんですよ。グループに所属していても、1人1人が社長みたいなものなので。マジで正解はない。これからもいろんなアドバイスを聞くと思うんですけど、自分に合うと思うものだけを取り入れていけばいいと思います。取捨選択大事!!

――最後にそれを言って頂けるのは本当に古川さんの優しさですね〜。

柏葉:個性が弱いって言うのが本当に悩みだったんですけど、好きなことを信じてずっと強くしていけば、今すぐじゃなくてもそれが自分の本当の個性になるって思えて、今日のお話を伺えて、本当に良かったです!

瀬﨑:お会いする前に聞いてたエピソードが、本当にすごくて、現実とは思えない、自分にとって未鈴さんはアニメの主人公みたいな存在だったんですよ。

――かなり特殊なアニメですけどね!!

古川:あ〜、あのブルマーの回ね! みたいな(笑)。

瀬﨑:でも今日お話をお伺いして、その時に未鈴さん自身は怖い思いや悩みを抱えてらっしゃったってことが分かって・・・。自分たちも目の前にあることを真剣に頑張っていれば、いつか未鈴さんみたいなすごい人になれるかもしれない! 頑張ろう! って思えました。

詩之宮:私がディアステージに入れたのは、本当にいろんな偶然が重なって・・・なんですけど、ディアステに入れたことがすごく嬉しいと思ってるし、今日未鈴さんからお話を伺えたのもそのお陰だし。未鈴さんたちが作り上げてきたディアステージの DNAをしっかり受け継いで、頑張って行きたいなって思いました!

――連載最終回にふさわしいコメントありがとうございます。では最後に、古川さんからChumTotoに向けてメッセージをお願いします!

古川:未来は明るいですね! 私はやっぱりライブが見応えのあるアイドルが一番好きなので、本当に最初にChumTotoを見たときに衝撃を覚えたんですよ。正直言って、ライブ中退屈になっちゃうアイドルも多い中、ChumTotoは終始目が離せなくて、歌声とか一瞬の表情とかがすごく心に残るパフォーマンスをしてるので、そこに関しては自信を持って進んで欲しい。この時代なのでもちろんSNSのバズとかも大事なので、どこかでバズって欲しいとは思いますけど・・・。むしろ私もバズりたいですけど〜。

――失礼ですが、古川さんにもまだそんな欲求が(笑)!?

古川:ワンチャンあれば(笑)。


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