4分で肩作った佐々木朗希 イニング途中から初登板「自分のいい球で勝負することだけを考えて」

◆米大リーグ 地区シリーズ第2戦 フィリーズ3―4ドジャース(6日、米ペンシルベニア州フィラデルフィア=シチズンズバンクパーク)

 ドジャースは6日(日本時間7日)、地区シリーズ(S)第2戦の敵地・フィリーズ戦で連勝。大谷翔平投手(31)と佐々木朗希投手(23)の活躍で、リーグ優勝決定S進出にあと1勝とした。佐々木は1点差に迫られた9回2死一、三塁で登板。今季首位打者のT・ターナーを二ゴロに打ち取り、2試合連続セーブ。

 余計なことは何も頭になかった。朗希は捕手のミット目がけて全力で腕を振った。9回、3連打で1点差に迫られ、なお2死一、三塁。長打が出れば逆転サヨナラ負けの場面で投じた初球のスプリットはボール。2球目の99・3マイル(約159・8キロ)の直球で、首位打者のターナーを二ゴロに打ち取った。「自分のいい球で勝負することだけを考えていた」とうなずいた。

 急ピッチだった。2点を献上し、なお無死二塁でベシアを投入。その時点で朗希は投球練習をようやくスタートさせた。捕手が座ってからはブルペンでは約4分で14球。急いで肩をつくったが、「打順上位なら行くかもしれないと言われていたので、そこに関しては気持ちの準備はできていた」。マイナーから7試合目の救援登板。イニング途中からは初登板だったが、問題なかった。

 2球でのセーブはポストシーズン(PS)の日本人で最少の球数。データサイト「オプタスタッツ」によると、1969年のセーブが公式記録になって以降、メジャー最初の2セーブがPSだったのは初めてだという。敵地は熱狂的なファンが多く、強烈なヤジやブーイングも日常茶飯事だが「そこまで英語も分からないので、何言っているかは分からないですし、気にせず。日本でも似たような経験はあったので、そこらへんは気にせず投げられたかなと思っています」と平然と言い切った。

 ドジャースは地区S2連勝で突破に王手をかけた。PSは無傷4連勝で、レギュラーシーズンから9連勝と勢いに乗る。MLB公式のS・ラングス記者によると、5試合制のシリーズで2勝無敗となったチームは90度のうち80度突破し、突破率は88・9%。その快進撃を支えるのが守護神で無双状態の佐々木だ。ロバーツ監督も「朗希が継続して、あらゆる面で非常に心強いものを示し続けている」と大絶賛。1か月前にはまだマイナーでもがき苦しんでいたが、今ではすっかり欠かすことのできない存在になっている。(安藤 宏太)

 ◆佐々木朗希に聞く

 ―2連勝だがチームの雰囲気は。

 「先発ピッチャーが毎回いいピッチングをしてくれるので、僕ができることはその状態で試合を終わらせて締めるか、次のピッチャーにつなぐことだと思うので、しっかりいい準備をしてマウンドに行くことだけを考えています」

 ―9回先頭から登板しなかったが。

 「右(打者)が続くのは分かっていたので、そういう判断もあるかなとは思っていた。打順上位なら行くかもしれないと言われていたので、そこに関しては気持ちの準備はできていた」

 ―クイックでも安定した投球ができている。

 「マイナーで99、100(マイル=約159~160キロ)が出るようになった時も、まだちょっとクイックのばらつきはあった。ただメジャーに復帰してからいつの間にか良くなっていたので、そこはちょっと分からない。自分の中で投げながらいろんな感覚を思い出してきたんじゃないかなと思います」