「失望している…今でも腹が立っている」猛省の3三振のジャッジか、不可解采配のデローサ監督か…WBC米国敗戦の責任はどちらにあるのか?

 WBCの決勝戦が17日(日本時間18日)に米マイアミのローンデポ・パークで行われ、ベネズエラが3-2で米国を下して初優勝を果たした。母国の敗戦に衝撃を受けた米メディアは、3三振のノーヒットに終わったヤンキースのアーロン・ジャッジ(33)か、不可解采配のあったマーク・デローサ監督(51)か、「敗戦の責任はどちらにあるのか?」の検証記事を相次いで掲載した。その結論とは?

 「自分たちの野球をしたベネズエラには敬意を表する」

 野球版ドリームチームで挑んだ米国が2-3でベネズエラに敗れてV奪回を果たせなかった。2-3の惜敗。3三振を含むノーヒットに終わったジャッジはUSAトゥデイによると、「もちろん失望している」と悔しさを隠さなかったという。
「ベネズエラには帽子を取って敬意を表するよ。彼らは自分たちの野球をして、素晴らしくクリーンな試合をして勝利をつかんだ。でも当然ながら悔しい。俺たちはここに来て、このユニフォームに袖を通し、全員が金メダルを取るために戦った。でも、それには届かなかった」
 そして「本当に中身の濃い試合だった。ファンがあれだけ集まってくれて、応援して叫んで、最初の1球から立ち上がっていた。最高だった。でも……まだ、腹が立っている」ともコメントしている。
 4番を任されながら同じく3三振とひとつの四球に終わったフィリーズの昨季の2冠王であるカイル・シュワーバー「つらい。本当につらい…ロッカーを出るときは勝つつもりで出ていく。それが実現しないなんて……本当にきつい。でもベネズエラには敬意を払うべきだ」と言い、表彰式で授与された銀メダルをすぐに首から外した。
 8回にMVPを2度獲得しているフィリーズのブライス・ハーパーの起死回生の同点2ランで追いつくもレッドソックスのリリーバー、ギャレッド・ウィットロックが9回に先頭の今季からジャイアンツのルイス・アラエスに四球を与え、代走のハビエル・サノハに盗塁を決められた。 
 そして4番の昨季49本塁打のレッズ、エウヘニオ・スアレスに左中間にタイムリー二塁打を許してハーパーの2ランで作った流れを生かし切れなかった。9回も3人で終わり、米国はベンチから、ベネズエラのお祭り騒ぎをただ無言でみつめることになった。
 米メディアは相次いで敗戦の検証記事を掲載した。
 やり玉にあげられたのがジャッジとデローサ監督だ。
 米誌「ニューズウィーク」は「ジャッジか? デローサか? 米国代表のWBC敗戦の責任は誰にあるのか」との見出しを取ってこう伝えた。
「3年前の米国対日本の決勝は映画のような名勝負だった。両チームともに気迫に満ち内容も美しく完成度の高い試合だった。だがベネズエラ戦の敗北はその続編としてははるかに精彩を欠くものだった」
 同誌は「打撃は悲惨だった。MVP経験者たちが時速92マイル(約148キロ)の速球に対し無謀なスイングを繰り返していた」と指摘した上で問題点をリストアップした。
 ひとつは、チームトップのOPS1.358を誇り、準決勝のドミニカ共和国戦では同点本塁打も放っているオリオールズのガナー・ヘンダーソンではなく、今大会で打率.182の今季からカブスのアレックス・ブレグマンを「5番・三塁」で起用したデローサ監督の采配だ。
 ブレグマンは4打数ノーヒットだった。

 

 もうひとつは昨季のサイヤング賞のタリク・スクーバルが、1次ラウンドの英国戦に登板後に、一度、チームを離れて決勝トーナメントでチームに再合流したが、登板しなかった問題。一方でスクーバルは数日前にタイガースのキャンプ地で60球以上を投げこんでいる。
 そして「最大の戦犯は同世代最高の打者でありながらまたしても運命を分ける決勝戦で結果を出せなかったジャッジなのか?」と続けた。
 米サイト「エンパイア・スポーツメディア」のライアン・ガルシアは「ジャッジが批判されるゲームだ。2-0と3-1のカウントで、2球ともど真ん中のストレートを打ち損じた」と指摘した。
 1回の第1打席はカウント2-1からのインコースへのストレートをファウルにして、最後は外角のカットを見逃して三振。6回二死一塁でもカウント2-0と打者有利のカウントから甘いスライダーを見送り、3-1となってからもど真ん中のツーシームに手を出さなかった。そして最後はスライダーを引っ掛けての三塁ゴロに終わっている。
 そして最も失望させたのは8回だ。
 ハーパーの同点2ランの次の打者がジャッジだったが、ここでも見逃しの三振に倒れ、米国に傾きかけた流れを断ち切った。
 同誌は責任論をこう結論づけた。
「この敗戦で特定の選手やコーチ一人だけを責めることはできない。とはいえ最終的に最も批判を浴びるのは指揮官であるデローサだろう。ジャッジ、ブレグマン、カル・ローリーら、期待に応えられなかった選手たちには1週間余りで始まるメジャーのシーズンで名誉挽回の機会がある。もしジャッジがヤンキースをワールドシリーズ制覇に導けば、このWBCの悪夢は多くのファンにとってただの苦い記憶に過ぎなくなるだろう。だがデローサ監督に関しては名誉挽回の機会は存在しないし、与えられるべきでもない。2年後のロス五輪で指揮を執っているのは別の人物であるべきだ」

 

 デローサ監督は試合後会見でロス五輪に向けて「100%、もう一度やると答えるよ。最後までやり切りたい。WBCでは2回とも(決勝で)3対2で負けているからね。理由?今ロッカーで選手たちがどれだけ傷ついているか見れば分かるよ」と、続投への意欲を示し、SNSでは「永久追放にしろ」などの批判が殺到していた。
 また米サイト「ピンストライプス・ネイション」も「ジャッジの沈黙か、それともデローサの采配か…米国代表がWBCタイトルを逃した原因は何だったのか」との検証記事を掲載した。
 同サイトは「ジャッジの大会全体の打率.261、2本塁打、5打点の数字は悪くない。しかしノックアウトラウンドの大舞台で、そのバットは沈黙した。米国は準決勝、決勝でわずか4得点。そのすべてが本塁打によるものでジャッジは関与していない。彼を取り巻く打線もより大きな問題だった。決勝はわずか3安打の10三振。シュワーバーは3打数無安打3三振だった」と打線全体に責任があると分析した。
 またデローサ監督が、ベネズエラの先発左腕が降板後も右打者のドジャースのウイル・スミスの起用を続け、昨季60本塁打のマリナーズのカル・ローリーを起用しなかったことを批判した。
 さらに9回に4試合で防御率0.00だった守護神のパドレス、メイソン・ミラーを起用しなかった問題もクローズアップした。
 デローサ監督は、試合後に「パドレスの要請を尊重した。リードをしていれば彼を使っていたが、同点で投入するつもりはなかった」と登板過多を懸念するパドレスからリードした場面以外での起用を認めない要請があったことを明かした。だが、同サイトは「この説明は受け入れられない。ミラーは準決勝で22球しか投げておらず、大会を通して100マイル(約161キロ)超の球速で圧倒していた。SNSでは『理解不能』の声が相次ぎ『永久追放』を求める声まで上がった」との見解を示した。
 また試合後にデローサ監督が「この試合に(采配)ミスはなかった。ただ攻撃でプレッシャーをかけられなかっただけだ」とコメントしたことや、WBCを7月のオールスターブレイクに移すべきだと主張したことを取り上げて「批判をかわすための論点ずらし」と批判した。
 同サイトの結論は「責任は一人に帰するものではない」というもの。
「ジャッジは主将として最も重要な場面で結果を出せなかった。デローサ監督は最も好調な打者を外し、最強のリリーフを同点で使わず、3億ドル(約474億円)のロースターから得点を引き出せなかった」
 米国の敗戦の衝撃はあまりにも大きかった。

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