「真の世界一を争うならWBCの開催時期は間違っている」球界大御所が緊急提言…MLBコミッショナーも「シーズン中の開催検討」に言及…2028年にロス五輪があるため次回開催は2030年か
03/20 07:02
第6回WBCは侍ジャパンを準々決勝で破ったベネズエラが決勝で米国を3-2で下して初優勝を飾って幕を閉じた。観客数は24%アップして過去最高を更新。各チームがトップクラスのメジャーリーガーを揃えて大会を盛り上げたが、巨人OBで西武、ヤクルトで監督を務めた広岡達朗氏(94)は「日本も含めて未調整の選手が目立った。真の世界一を争うなら開催時期は間違っている」と緊急提言した。MLBのロブ・マンフレッドコミッショナー(67)も将来的に開催時期をシーズン中に移行する可能性に言及した。
今大会は過去最高の観客動員と視聴率を記録
侍ジャパンの連覇はならなかったものの、地元の米国が決勝へ進み、白熱した名勝負をベネズエラが制して初優勝した第6回のWBCは大成功に終わった。AP通信によると、今大会の観客動員は47試合で161万9839人。2023年の130万6414人を24%上回る過去最高を更新した。
王ジャパンが優勝した2006年の第1回大会は39試合で74万451人だったというから倍以上だ。
また決勝を除く全試合での最高視聴数は、米国がドミニカ共和国に2-1で勝った準決勝で、FOXなどで737万人を記録した。これはドジャースの大谷翔平が胴上げ投手となった2023年の前大会の日本対米国の決勝の520万人を上回る新記録だった。
球界大御所の広岡氏は「米国やベネズエラが国の威信をかけて本気を出してきた。メジャーリーガーの一流どころが揃ってくると日本はとうてい勝てない」とした上で、今大会の問題をこう指摘した。
「メジャーから参戦した山本や菊池らも含めてどこの国も未調整の選手が目立った。本来ならキャンプで調整している時期に前倒しで試合をするのだからそうなるのは仕方がない。真の世界一を争う大会にするのなら開催時期は間違っている」
アストロズと契約した今井達也やドジャースの佐々木朗希は所属チームでの調整を優先せるために大会参加を辞退。
保険の問題がクリアできずにプエルトリコで主将を務める予定だったメッツのフランシスコ・リンドアや、ベネズエラのメンバーに加わる予定だったアストロズのホセ・アルトゥーベも辞退を余儀なくされた。
また米国代表では、昨季のサイヤング賞のタイガースのタリク・スクバルが1試合しか登板せず、守護神を務め防御率0.00だったメイソン・ミラーが、登板過多を懸念したパドレスから「リードしている場面のみ登板可能」との要請があり、ベネズエラ戦の同点の9回に起用できないなどの問題を残した。
そして広岡氏は「難しいかもしれないが、理想はシーズン中、オールスターブレイクの時期だろうな。決勝トーナメントは3試合しか戦わないんだから、それだけをその期間にやることは可能かもしれない」と、1次ラウンドと決勝トーナメントの分離案を提案した。
MLBのマンフレッドコミッショナーもAP通信のインタビューに答え、開催時期を春先ではなくシーズン中に移行させることを検討していることを明らかにした。
「シーズン中盤に行われるオールスターゲームについては2028年までFOXとの契約がある。ただ競技が進化し続ける中で、シーズン中のトーナメント開催についてこれまでも議論してきた。そして本格的にそれを検討するとなればシーズン中に大会を行う絶好の機会になるだろう」
MLBと選手会は2028年のロス五輪にメジャーリーガーを参加させることについて交渉を進めている。ロス五輪の野球競技は、オールスターブレイク中に実施される見込みで、ロス五輪にメジャーリーガーが各国代表として大挙して出場することになれば、次のWBCの開催時期に影響を与える可能性がある。すでに米国、ベネズエラ、ドミニカ共和国が出場権を得た。また大谷は、ロス五輪へ向けて「リベンジというか挑戦したい」との意向を示している。
同コミッショナーはWBCの次回大会を2029年か、2030年に行う意向を明らかにし、「ファンから4年周期では待てないというメールをたくさんもらっている」とも付け加えた。
ただ2028年にロス五輪があるため、2029年の開催では、間隔が狭すぎるため、2030年の開催に落ち着きそうな方向性も示唆した。
手探りで2006年にスタートしたWBCが、20年の時を経て、いよいよ「本物の世界一決定戦」へとそのレギュレーションを変革しようとしている。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)