「自分に矢印を向けて」町田・昌子主将の口癖は、サッカー選手ならではの「内省」
06/08 16:00
◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
サッカー担当就任当初、監督や選手が話す専門用語に苦しんだ。スプリント、デュエル、アタッキングサード…。小学生から約10年、野球で育ってきた私は毎日が勉強中だ。サッカー選手から専門用語と同じくらい、よく聞く言葉が「自分に矢印を向けて」という表現だ。他人の責任にするのではなく内省するという意味。これまで聞いたことがない言い回しだったが、とても気に入っている。
担当クラブの町田には「自分に矢印を向ける」と口癖のように語る主将がいる。元日本代表DF昌子源だ。今季開幕戦の広島戦(1●2)。序盤は町田のペースだったが、共に3バックを形成したDF岡村大八とDF菊池流帆が、そろって負傷交代。守備の優位性が失われ、逆転負けした。
2人の交代は言い訳したくなるほど痛手だったが、昌子はこう語った。「自分に矢印を向けて。そこでしっかりとまとめられなかった自分のミス」。主将としてチームの動揺を消せなかったことを悔いた。
日々の姿勢でも「自分に矢印を向けて」いる。昨季、町田に加入してからJFLに落ちた歴史などを調べ、「町田とは?」を常に考えている。自分なりに導き出した答えは「チャレンジャー精神」。黒田剛監督体制初の3連敗後には、その必要性を熱弁。チームの士気を高めた。オフの主将投票では、大多数の支持を得て2年連続で当選している。
鹿島でACLを含め6冠を獲得し、日本代表では18年ロシアW杯で16強入りを経験。酸いも甘いも熟知する。言い訳は口にせず、チーム状態が良くても、改善の余地を探す。昌子の「自分に矢印を向ける」姿勢をまねしていきたい。(サッカー担当・浅岡 諒祐)
◆浅岡 諒祐(あさおか・りょうすけ)2024年入社。同年サッカー担当。