「大敗を免れたのは日本が3、4軍だから。実力差がありすぎて議論の価値なし」中国メディアが“最強”森保ジャパン“に白旗をあげて自国チームを辛辣批判

 サッカーの東アジアE-1選手権の第2節が12日、韓国の龍仁ミルスタジアムで行われ、日本代表が2-0で中国代表を破り、2大会連続3度目の優勝へ王手をかけた。ホンコン・チャイナ代表に6-1で大勝した8日の初戦から先発全員を入れ替えた日本は、前半11分にFW細田真大(23、柏レイソル)が、後半18分にはDF望月ヘンリー海輝(23、FC町田ゼルビア)がゴール。代表デビューのGK早川友基(26、鹿島アントラーズ)を中心とする守備陣に零封された一戦に中国メディアは「力の差があまりにも大きすぎて、現時点では議論する価値がない」と白旗を上げた。

 先発11人を全員入れ替えて中国に2-0勝利

日本戦の結果を報じる中国メディアの論調が、大きく開いた実力差を物語っていた。前後半に1ゴールずつを奪われ、攻めては無得点に終わった一戦を、中国メディアの『捜狐体育』は「幸いにも大敗は免れた」と総括した。
「スコアの差がそれほど開かなかった理由は、大勝した初戦から日本代表チームが大幅なメンバーの入れ替えを行い、3軍ないし4軍のレベルにまで戦力を調整していたためだ。しかし、それでも中国代表チームは攻守両面で苦しめられた。日本との対戦成績は、これで7勝8分け18敗となり、最後に勝利した1998年3月を最後に、実に27年間にわたって勝利できないという、極めて恥ずかしい記録が続いている。日本との力の差があまりにも大きすぎて、現時点では議論する価値がない」
 国際Aマッチデー期間外に開催される今大会へ、日本の森保一監督(56)は26人のJリーガーだけによるチームを構成。追加招集された選手を含めて、初招集組が半分の13人を数えた顔ぶれには、すでに出場を決めている来夏のW杯北中米大会を見すえてチームの選手層を厚くし、競争を煽る狙いが込められていた。
 ホンコン・チャイナに6-1で大勝した8日の初戦では、代表デビューのFWジャーメイン良(30、サンフレッチェ広島)が4ゴールを量産。同じく初代表のルーキーFW中村草太(22、広島)も6点目のゴールを決めた。
 そして、中国との第2戦では先発する11人全員を入れ替えた。GK早川を筆頭に代表デビューを飾った5人に加えて、2022年のW杯カタール大会以来、約2年7カ月ぶりに日本代表戦に出場し、キャプテンも務めたDF長友佑都(38、FC東京)らで構成されたチームも、攻守両面で危なげない試合運びを見せた。
 開始11分に代表デビューのMF田中聡(22、サンフレッチェ広島)のスルーパスに反応したパリ五輪代表の細谷が技ありの先制ゴールをゲット。後半18分には代表初先発の望月が利き足とは逆の左足で初ゴールを決め、前後半に一度ずつ訪れた中国の決定機では、早川のファインセーブでゴールを許さなかった。
 日本戦を前にして『捜狐体育』は、「初戦で大暴れしたジャーメインを警戒せよ」とする展望記事を掲載していた。
 日本の先発メンバーには肩透かしを食らったはずだが、それでも攻守両面で歯が立たなかった90分間を、同メディアはさらにこう報じた。
「内容的にはあまり見栄えのしない試合だったが、結果としては予想よりもよかった。両国の力量差を考慮すれば、むしろ及第点を与えてもいい。今は日本との試合から課題をしっかりと感じ取ってほしいし、ホンコン・チャイナとの最終戦では最大限の力を発揮して大会最下位を拒絶してほしい。中国サッカーチームの未来は、今大会に選ばれた若い選手たちにかかっている。あと数年、成長を待つ必要がある」

 

 1990年代までは、東アジアにおいて中国は韓国に次ぐ日本のライバルだった。たとえば1988年のソウル五輪。開催国の韓国が予選を免除される状況で、中国との一騎打ちになった前年のアジア最終予選で日本は敗れた。敵地での第1戦で勝利しながら、雨中の決戦となった国立競技場での第2戦で敗れて逆転を喫した。
 しかし、Jリーグが産声をあげた1993年を境に、両国の力関係に変化が生じ始める。現時点で日本が喫した最後の黒星は、第1次岡田ジャパン時代の1998年3月。0-2で敗れたダイナスティカップ以降は、今回の対戦まで11勝6分けと無敗を継続している。別の中国メディア『新浪体育』も、拡大した両国の実力差をこう伝えた。
「21世紀に入ってから、中国は日本に一度も勝てていない。10日に発表された最新のFIFAランキングでも、日本がアジア勢では最上位の17位なのに対して中国は94位。今大会の日本には三笘薫や久保建英、遠藤航らヨーロッパのクラブに所属する有名選手たちは一人も招集されていない。全員がJリーグ組で構成される、いわば3軍に位置づけられるチームなのに、それでも総合力は中国を上回っている」
 日本と中国はカタール、北中米両W杯出場をかけたアジア最終予選で同グループに入っている。結果は日本の4戦全勝。アジア大陸の出場枠が「8.5」に拡大された北中米大会のアジア最終予選で中国はグループCの5位に終わり、自動的に出場権を得られる2位以内どころか、プレーオフに進める3位及び4位も逃した。
 中国サッカー協会は、最終予選終了後の6月にブランコ・イバンコビッチ監督(71、クロアチア)を解任。U-20中国代表を率いるデヤン・ジュルジェヴィッチ監督(57、セルビア)が今大会から暫定的にA代表の指揮を執っている。
 中国のタブロイド紙『環球時報』は「今大会における中国代表は、成績目標を設定していない」とした上で、ジュルジェヴィッチ暫定監督の目的を明かしている。
「国際大会への参加を通じてあらためて選手層を検証し、若手選手に試合経験を積ませることを目的にすえている。ジュルジェヴィッチは日本戦で最終ラインを5バックに変えて、守備を重視した戦術で臨むも敗れてしまった。これで日本には直近の6試合で1分け5敗、得点1に対して失点15という結果になっているが、それでもジュルジェヴィッチは『引き続き中国代表を信じてほしい』と試合後に語っている」
 中国メディアが白旗を上げた日本は連勝で勝ち点を6に伸ばし、同じく連勝の韓国を得失点差で2ポイント上回って首位に立った。韓国メディアの『OSEN』は、勝ったチームが優勝する15日の直接対決を「ギロチンマッチ」と位置づけた。
「韓国に続いて、先発メンバーを全員入れ替えるローテーションで臨んできた日本にも敗れた中国は、自分たちの無気力さとともに現実を痛感させられた。中国はブラジルからの帰化選手で、かつて鹿島でもプレーしたセルジーニョを後半途中から投入したが、ゴールはあまりにも遠かった。韓国と日本が優勝をかける運命的な一戦で、得失点差で上回る日本は引き分けでも優勝できるが、韓国は勝たなければならない」
 日本で2022年7月に開催された前回大会も日本と韓国は最終戦で激突し、3-0で快勝した日本が優勝を果たしている。韓国の中3日に対して日本が中2日で迎える決勝は15日午後7時24分に、再び龍仁ミルスタジアムでキックオフを迎える。

元記事を読む