「りくりゅう」木原龍一ににじむ理論派コーチ像 森口澄士にかけた「なかやまきんに君だよ!」の対話力…担当・大谷翔太記者コラム

表彰式で笑顔を見せる(左から)アナスタシア・メテルキナ、ルカ・ベルラバ組、三浦璃来・木原龍一組、長岡柚奈・森口澄士組

 ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケートペアで、日本史上初めて金メダルを獲得した三浦璃来(24)、木原龍一(33)=木下グループ=組が17日午前、現役引退を発表した。SNS上に連名で「私たちはやり切ったという気持ちでいっぱいで、悔いはありません」などとつづった。午後には都内で天皇、皇后両陛下主催の春の園遊会に出席した。フィギュア担当の大谷翔太記者が「りくりゅう」を「労う」。

 「りくりゅう」が現役を引退した。日本で初めて、ペアで五輪金メダルを獲得して一線を退いた。2人の最大の功績と言えば、ベンチマークとして背中を見せてきたことだろう。「りくりゅう」が世界一であったことが、日本のペア発展においては不可欠だった。

 「ゆなすみ」こと長岡柚奈、森口澄士組(木下アカデミー)が、3月の世界選手権で4位入賞を果たした。まだ結成3季目。関係者の多くは「こんなに速く」とその成長速度に目を丸くする。23年に結成したペアは「りくりゅう」に憧れ、ペアの世界へ。憧れはいずれ、目標へと変わった。

 森口が明かす。「2人とも、すごく面倒見のいい大先輩」。例えばリフトのことで相談すれば、木原は「なかやまきんに君だよ!」と冗談を飛ばしながら、ポイントを指摘してくれる。長岡も、三浦に上のポジションの姿勢の取り方について聞けば、親身に教えてくれた。そばで見る相手、聞ける相手が世界を争う2人だ。「結果を残して、道しるべを残してくれた」と努力すべき道筋を理解した。

 引退後、指導者を志す「りくりゅう」。木原は、自分の中で理論を整理できないと行動に移さない論理派でコーチ向きだ。長岡、森口ペアは「いつか、りくりゅう先輩を超えていけるように」とも言った。もしかしたら、30年五輪は「りくりゅう」コーチと「ゆなすみ」ペアのタッグが見られるかもしれない。世界一の背中を追い、頂点へ。そうしてペアの隆盛が築かれると想像すると、ワクワクする。(大谷 翔太)