「インよりアウトの方がスコアは出やすい」は本当? “都市伝説”!? 初めてのゴルフ場を予約するときオススメなのは

多くのゴルフ場では、各ホールに複数のティーイングエリアが用意されています。場所によって難易度が大きく変わる場合もあり、場合によっては渋滞の原因にもなります。

「18ホールで1つの物語」理論だとアウトの方がやさしい

 ゴルフのラウンドは18ホールを回るのが基本ですが、近年ではコスパとタイパの両方の面から、半分の9ホールだけをプレーする「ハーフラウンド」も人気を集めています。

ホールが進むにつれハザードが多くなり難易度が高くなる 写真:PIXTA

ホールが進むにつれハザードが多くなり難易度が高くなる 写真:PIXTA

 そんな中、「10〜18番ホールのインコースより、1〜9番ホールのアウトコースの方が予約が取りづらい」「アウトコースでハーフラウンドした方が、スコアが良くなりやすい」といった話を聞いたことがあるかもしれません。

 では、もしもハーフラウンドをするのならインコースよりアウトコースを予約した方が、難易度を下げることができるのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、以下のように話します。

「一般的にゴルフ場は『18ホールで1つの“物語”を描いている』といわれており、序盤・中盤・終盤とプレーを進めるごとに難易度が段々と高くなり、最後まで飽きが来ないような設計がなされています」

「1番ホールからの数ホールは、ウォーミングアップも兼ねてバンカーや池の数はかなり少なく、またグリーンまで全体を見渡せたり、アンジュレーションも穏やかだったりすることが多いです。これはビギナーから上級者まで、全てのゴルファーがスムーズに気分よくスタートできるように配慮しているためです」

「しかしホールが進むにつれ、行く手を阻むかのように横たわるバンカーや波立っているかにも見えるアンジュレーション、ドッグレッグといった見通しが悪いホールなどのトラップが現れてきます。そして、最終の18ホールを含む“上がりの3ホール”は、プレーヤーの技術とメンタルを試すかのように、最もハードルの高い課題を与えるのです」

「そのため、ゴルフ場設計におけるセオリーからいうと、インコースと比べてアウトコースの方が難易度が低くなっていると考えることができるでしょう」

 また、コース設計においては各ホールの個性を表現するため特徴的な要素を散りばめたり、さまざまな角度からコースマネジメントを考えられるよう「ショットバリュー」を増やしたりする工夫も凝らされています。

 さらに地形や風が吹く方向を考慮して、たとえば通常18ホール中4ホールあるパー3のショートホールは、ティーイングエリアを全て異なる方角に向かせるなどのレイアウトがなされる場合もあります。

本来はアウトとインで難易度に大きな差はない

 ところが飯島氏は「18ホールに“起承転結”があるとはいいつつも、アウトとインで難しさにさほど大きな違いはない」と話します。

「確かに、トラップの数や難易度ではインコースよりアウトコースの方がやさしめに造られているゴルフ場は多いのですが、コース設計においては『トータルバランスの良さ』も重要な要素と見なされているのも事実です」

「要するに、18ホールの中でグラデーションのように少しずつプレーヤーに課すミッションが増やされていくので、『インコースに入った途端に急に難易度が増す』といったことはなく、アウトコースにもそれなりの難しさは担保されています」

「もしもハーフラウンドをするならアウトとインどちらを予約してもいいですが、18ホール全てを回りたいのであれば、個人的にはアウトコースから始まる枠を抑えるべきだと思います。全体のバランスが考えられているとはいえ、インコースからプレーすると映画でいえば『結末を見てから導入部分を見る』ということになり、後半の面白みが欠けてしまうでしょう」

「日本では、進行効率の良さなどから1番ホールと10番ホールの2か所から同時にスタートさせる『2ループ制』を採用しているゴルフ場が大半である一方、世界に目を向けると1番ホールからのスタートのみであることも少なくありません」

 実際に、飯島氏も初めてラウンドするゴルフ場を予約する際は、コースの全容を把握できるように、できる限りアウトスタートの枠を抑えることを心がけているそうです。

 もちろん目の前のプレーに集中することが一番ですが、時には各コースの全体的な演出について思いを馳せてみるのも悪くないでしょう。

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