アクセスと会費だけで選んでない!? 自分に合ったインドア練習場探しに役立つ「設置弾道測定器の特色」とは?

インドアゴルフレンジには施設によってさまざまなメーカーの弾道測定器や弾道シミュレーターが設置されていますが、性能や機能には大きな違いや一長一短があります。特にアマチュアが快適に練習に通えると感じるポイントは、必ずしも正確な弾道項目や数値ではないそうです。

インドア施設の弾道測定器選びはメンテナンス対応が重要

 インドアゴルフレンジに設置されているさまざまなメーカーの弾道測定器や弾道シミュレーター。実は意外な条件をクリアしている機器でないと、施設側は導入を躊躇してしまうことがあるそうです。

 まず求められるのが、利用するゴルファーが複雑な操作をしなくてもすぐに使える「簡単さ」と、ショット前後での測定値や弾道シミュレーションのスムーズな「反応」。

ボールに正対して計測するカメラ式は、インドア環境でもスピン量や打ち出し角のエラーが出にくい反面、シャンクなどのミスショットで壊れてしまうことがある

ボールに正対して計測するカメラ式は、インドア環境でもスピン量や打ち出し角のエラーが出にくい反面、シャンクなどのミスショットで壊れてしまうことがある

 また、限られた空間の中で使用するインドア環境では、屋外の測定に強いレーザーで測定する弾道測定器よりも、カメラやセンサーで測定する機器の方がエラーが出にくい傾向があります。そのタイプの機器の中から、スイング動画撮影やラウンドモードのソフトとの親和性があって総合的に使えるものを採用しているそうです。

 また、長時間の稼働と非常に多くのゴルファーが利用するインドア施設では、壊れにくさと非常時のメンテナンス対応も必須条件。どんなに優れた機器であっても故障時に「ゴールデンウイーク中は修理に行けません」といった対応では、導入はできません。

 利用者の中にはシャンク等の大ミスショットも頻発し、通常ではありえない方向にボールを飛ばす人もたくさんいます。そうなると、インドア環境でもエラーが少なくスピン量や打ち出し角を正確に測定できるカメラ式の最大のデメリットは、打席の真横に置いて測定するのでシャンクなどで壊れてしまいやすいこと。それだけにメンテナンス対応も大事というわけです。

 ちなみに今回テスト試用した「GTRAK」は、正対する角度を従来よりもずらし、非常に丈夫な金属カバーを覆うことで、壊れにくさをアップデートしてるそうです。

セルフチェックに最適な「ライブカメラ」は便利

 インドア施設利用者の中には、詳細な弾道測定ができても、自分のスイング動画が大きくはっきり撮影&表示されないと快適に練習できないと感じる人も多くいます。せっかく機器を使って練習している意味がないというわけです。

セルフチェックでスイング作りをするゴルファーには、「ライブカメラ」機能があるといい

セルフチェックでスイング作りをするゴルファーには、「ライブカメラ」機能があるといい

 例えばシミュレーション画面を打席正面の大きなスクリーンで見たいという人もいれば、安く利用できれば気にしない人もいます。私がヘッドコーチを務める「インドアゴルフレンジKz亀戸」は、4打席ある2階レッスン打席にはスクリーンを設置し、24時間営業の3階セルフ打席はスクリーンなしになっています。

 インドア施設でのハード&ソフト設置の難しさは、多様な好みに対して常に一定以上の快適さを満たしていなければいけないところです。

 今回テストした「GTRAK」で興味深かったのは、セルフチェックをリアルタイムでできる「ライブカメラ」機能でした。反転して見える鏡と違い、スイングの「こんな感じかな?」を見ながら練習できるところは好感が持てました。レッスン中にもセルフ練習にも「ライブカメラ」機能を邪魔に感じるアマチュアは、まずいないのではないでしょうか。

施設ごとに「ユーザーファースト」に対する考えは異なる

 今やどこに行ってもインドア施設が混在し、利用したことがないゴルファーは稀有な存在になってきました。ただ屋外練習場と大きく異なるのは、主な利用目的がゴルファー個々で大きく異なることです。

 上達のためのレッスン目的の人もいれば、シミュレーターでいろいろなコースをラウンドしたいゴルファーもいます。あるいは自分の練習よりも、仲間とおしゃべりしたい人も現実にいます。時間の使い方も人それぞれで、昼間にじっくりとボールを打つ人もいれば、深夜・早朝しか練習できない人もいます。

マニアックに弾道測定結果の詳細な項目よりも、「GOOD!」などのショットに対するほめ言葉がうれしいというゴルファーは多い

マニアックに弾道測定結果の詳細な項目よりも、「GOOD!」などのショットに対するほめ言葉がうれしいというゴルファーは多い

 そんな多彩なアマチュアの施設評価でうれしいのは、詳細な弾道測定項目や解析よりも「GOOD!」などのショットに対するほめ言葉だったりします。また年齢が高くなるほど、細かいグラフィックや表示よりも、大きくて見やすいスクリーン画面の明るさやシンプルさを評価する傾向があります。

 レッスンする側にとっては、詳細なインパクトデータがあるとスイングの修正や調整に便利ではと思っていても、当の生徒さんにとっては大して重要でないこともしばしばです。

 さらに、納得できる測定数値感も弾道測定器には重要ですが、「数字が厳しい」「数字が甘い」ということ気にするアマチュアは多いです。したがって、多くのインドア施設が耐久性とコストの理由でレンジボールを使用していますが、あらゆる測定項目のデータに大きな補正が必要になってしまうため、コースボールを使っている施設もあります。

 どのインドア施設も多様な利用者に対して「ユーザーファースト」を心がけています。施設ごとの特徴が出るので、その中から自分にあったところを選ぶ時代になっています。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数出演するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティ「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。

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