球数を打つほどヘタになる!? ラウンド前練習の“落とし穴”とは?
03/19 08:00
スタート前の練習は“調子を上げる場”と思っているのは間違いで、本来はその日の傾向を確認するための時間にすぎない。打てない不安とどう向き合うべきか、現場の声からラウンド前練習の本当の役割を考えた。
スタート前練習場は“ショットの調子を良くする場所”ではない
ラウンド当日のスタート前、ショット練習場があれば必ずボールを打つという人は少なくありません。筆者もその一人です。なぜなら、1球も打たずにティーイングエリアに立つのは、どうにも心細いからです。
練習場でそこそこの球が出れば「今日は何とかなりそうだ」と少し安心できます。逆に、ダフリやトップばかりが続くと、「このままスタートして大丈夫なのか!?」と不安が一気に膨らみます。
以前は、1カゴの練習ボールでは不安を取り除くことができず、もう1カゴ“おかわり”していたこともありました。50~60球打てば、どこかで光が見えるのではないかと思っていたのです。
けれども、球数を増やせば必ず調子が上がるわけではありません。むしろ、打てば打つほど不安が深まることもあります。筆者は球数を増やすよりも、1カゴの中でそこそこの球が出るように、クラブを短く持つ、スタンスを狭くする、振り幅をコンパクトにするなどの対策を考えたほうがいいという結論に達しました。

沖縄県のエナジック具志川ゴルフクラブ総支配人であり、レッスンプロでもある三浦辰施氏は、スタート前練習の位置づけを次のように説明します。
「ラウンド前の練習は、簡単に言うとウオーミングアップでしかなくて、その日の傾向を知るためのものなんですよね」
スタート前の練習場は、“調子を良くする場所”ではなく、“今日の傾向を確認する場所”です。この視点は意外と共有されていません。練習場で真っすぐな球が出れば安心し、曲がれば修正しようとする。しかし三浦氏は問いかけます。
「練習場で真っすぐな球が出たからって、コースで同じ球が出る確証はありますか?」
たまたま出たナイスショットに依存することの危うさ。プロや上級者は、ラウンド当日にスイングを大きく修正することはほとんどない、といいます。
「ショットがよくなるまで練習することは、しないほうがいいと思います」
練習場で直そうとしたことが、コースでは裏目に出る可能性もある。練習場では同じ場所からずっと打ち続けますが、コースでは1打ごとに状況が変わります。環境が変われば、体の動きも自然に変わるのです。
調子が悪くても前に進めばゴルフは成立する
では、朝の練習でダフリばかりだったらどうすればいいのか。三浦氏はこう話します。
「トップでもいいから前に進んでくれれば、とりあえずゴルフにはなるんですよ」
ダフって前に進まないより、トップでもいいから前に進むほうがいい。とにかく“今日のラウンドをどう乗り切るか”に発想を切り替えることが大切だといいます。
「ショットを直そうとはしないで、その日の傾向の中で、どうやって回るかを考えたほうがいいです」
ナイスショットを連発することと、いいスコアが出ることは必ずしも一致しません。ショットが右にしか行かない日なら、左は怖くない。傾向が分かれば、それに基づいたコースマネジメントができます。
そもそも、すべてのゴルフ場にショット練習場があるわけではありません。打席が混雑していて、時間が足りない日もあります。三浦氏は「素振りだけでスタートすることもあります」とも話します。1球も打たずにラウンドする日があっても、ゴルフは成立するのです。
練習場でショットが悪くても、コースに出たら意外とよくなることがあります。逆に、練習場で気持ちよく振れていたのに、1番ホールで違和感を覚えることもあります。練習場のナイスショットは、保証書ではありません。
スタート前に不安になる気持ちは、よく分かります。ただ、その不安を球数で解消しようとすると、かえって迷路に入り込むこともあります。スタート前の練習は、あくまでウオーミングアップ。その日の傾向を知る時間です。練習場で調子が悪くても、ラウンドがうまくいかないと決まったわけではありません。ゴルフは18ホールかけて調整していくゲームでもあります。
もっともアマチュアの場合、18ホールをプレーしても“今日イチ”ショットが一度もないままラウンドが終わることもあります。モヤモヤした気持ちが残りますが、それもまたゴルフというゲームの魅力の一つなのでしょう。