砂を“厚く取る”が正解!? 20歳・菅楓華が示した「ランを出すバンカーショット」のコツ

PGAツアーの解説も務めるゴルフスイングコンサルタント・吉田洋一郎氏が、ツアーの第一線で活躍する選手のプレーを独自の視点で分析。今回は、日台共催大会「台湾ホンハイレディース」を制した菅楓華(すが・ふうか)選手の“バンカーショット”に注目しました。

アドレスとスイングの両方にポイント

 国内女子ツアー今季2戦目の「台湾ホンハイレディース」を制したのは、20歳の菅楓華選手でした。

 最終日は、8番のアプローチミスからのナイスボギー、11番のチップインバーディー、13番ロングパットなど見どころがありましたが、今回取り上げたいのはウイニングパットの一つ前。最終18番で魅せた長い距離の“バンカーショット”です。

ツアー2勝目を手にした菅楓華 ※写真は26年「ダイキンオーキッドレディス」 撮影:DAN IMAI

ツアー2勝目を手にした菅楓華 ※写真は26年「ダイキンオーキッドレディス」 撮影:DAN IMAI

 一般ゴルファーの皆さんも、同じようなシチュエーションから打つ機会があるのではないでしょうか。そんな場面で意識したいのは、ランを使って距離を稼ぐことです。グリーン面を広く使えたり、アゴがそれほど高くない状況では、球足の出るバンカーショットを打つとラクに寄せることができます。

 ランを出すコツは、砂を厚めに取ること。薄く取るとスピンがかかってボールが止まりやすくなるため、いつもよりボール1個半ほど手前からバンスを滑らせるイメージでヘッドを下ろすと、着弾後に前へ転がるボールになります。

 そのためには、アドレスとスイングの両方にポイントがあります。まずアドレスでは、ハンドファーストにせずハンドレイト気味に構えましょう。菅選手のバンカーショットを見ると、シャフトが地面とほぼ垂直になるほど手元を体の内側に入れて構えていることが分かります。

 さらに、構える際はフェースをしっかり開くことも重要です。フェースを開く目的は球を上げるためではなく、ハンドレイトと同様にバンスを使いやすくするためです。

ランを出すスイングのポイントはハンドレイト&フォローを抑える 

 また、番手選びも大切なポイントです。サンドウェッジよりもピッチングウェッジやアプローチウェッジ、ショートアイアンを使うことで高さを抑えられ、ランが出やすい球筋になります。どのクラブを使う場合でも、フェースをしっかり開いてバンスを出した状態でアドレスするようにしましょう。

 スイング中のポイントは振り幅。フォローを大きく出すと球が上がってランが減るため、ヘッドは低い位置に出していきましょう。

 今回の菅選手のショットを見ると、トップでは左腕が10~11時くらいの高さまで上がっているのに対し、フォローは3時ほどに抑えられています。振り幅を左右対称にせず、バックスイングよりフォローを小さくすることでランを稼いでいるのです。

 さらに意識したいのが、スイング中のグリップエンドの向き。アドレスでおヘソあたりを向いているグリップエンドを、バックスイングではターゲット方向に、インパクトからフォローにかけては飛球線後方へ向けます。これによりヘッドの運動量が増えて、バンスを使いやすくなります。

 改めて菅選手のバンカーショットを見ると、ランを出しやすい構え方とフォローの出し方をしていますが、2バウンド目で少しスピンが効いているようにも見えます。本人のイメージよりも薄めに入ったのかもしれませんが、結果的にピンそばに寄せて数十センチのウイニングパットを沈めました。

 距離のあるバンカーショットは難易度が高い場面かもしれませんが、ランを使うことで寄せられる可能はが高まります。バンスを使って砂を厚めに取ることを意識して、ぜひチャレンジしてみてください。

【解説】吉田 洋一郎(よしだ・ひろいちろう)

1978年生まれ、北海道出身。世界のゴルフスイング理論に精通するゴルフスイングコンサルタント。デビッド・レッドベターから世界一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。毎年数回、米国、欧州へ渡り、ゴルフに関する心技体の最新理論の情報収集と研究活動を行っている。欧米の一流インストラクター約100名に直接学び、世界中のスイング理論を研究している。海外ティーチングの講習会、セミナーなどで得た資格は20以上にのぼる。

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